見落とされがちですが、光合成は陸上だけで行われているわけではありません。海洋では植物プランクトンが盛んに光合成を行っています。この海洋における純一次生産の総量平均値は、近年の推定によると陸上も含めた地球全体の約半分といわれており、炭素量に換算して約550億トン、乾燥バイオマスに換算すると約1000億トン程度と推測できます(日本光合成学会の試算)。
乾燥バイオマスを燃焼させると1キログラムあたり約20メガジュールのエネルギー量が得られます。海洋バイオマスのそれを控えめに10メガジュールだと考えてざっくり計算すると、海では約28万テラワット時のエネルギーが毎年産み出されているのです。
人類が利用している水産資源は
全体量のうちのほんの一部
現在、世界全体の年間電力消費量は約2万5000テラワット時ほどで、単純計算ではその10倍以上のエネルギーが毎年海洋バイオマスの形で産み出されていることになります。この一部が食物連鎖を通して姿形を変えて、私たちが食料として利用できる水産資源になるわけです。
太陽がある限り、海洋での純一次生産、つまりバイオマスの年間増加量はほぼ一定です。同時に、分解され無機化するバイオマスの総量もほぼ一定です。漁業者によって漁獲される水産資源は、このうちのごく一部です。仮に漁獲しなくても、同じだけのバイオマスが他の魚や鯨に食べられたり、寿命を迎えたりして海洋中で自然に分解されていくのです。
増加量と減少量が均衡しているので、海洋中のバイオマスのストック、生物の総資源量は概ね一定の値を維持しています。バイオマスを構成する生物種が変わることはいくらでもありますが総量は常に安定しており、その一形態である水産資源は永遠に枯渇することがありません。
1950年に2000万トンだった世界の漁獲量は、1980年代までは右肩上がりに増加し、1億トン近くまでに達しました。しかし1990年代以降、頭打ちです。これは、すでに海洋バイオマスを限界まで利用していて、今後は海を利用した食料供給の拡大はできないということでしょうか。そうではありません。







