車椅子のシニアの夫婦写真はイメージです Photo:PIXTA

絶倫は生命力にあふれている。そんなイメージを持つ人は多いだろう。だが実際には、精を出さないオスのほうが長生きするという結果が報告されている。さらに興味深いことに、卵を作れないメスは、むしろ寿命が短くなる。なぜ、生殖と寿命はここまで複雑な関係にあるのか。魚を使った研究から、「男女の寿命差」の意外な仕組みが見えてきた。※本稿は、細胞生物学者の吉森 保『私たちは意外に近いうちに老いなくなる』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

なぜ魚が老化研究に使われるのか?
そこには明確な理由がある

 実験動物に魚を使うのは珍しくはありません。

 特に日本では非常になじみのあるメダカが有名です。メダカは江戸時代から庶民が趣味で繁殖させてきた魚です。

 同じ仲間内でかけ合わせて品種改良が続けられたことで、遺伝子もほぼ均一なので実験動物としては扱いやすく、明治時代から使われています。色が違ったり、サイズが違ったり、動きが違ったりといった個性もあるので集団遺伝学の研究にも最近は使われています。

 魚は水生生物なので、注射をしなくても実験に使いたい薬品などを水中から体に取り込めます。体が小さいので細胞の状態を把握しやすいというメリットもあります。飼育もマウスに比べて簡単で、何よりも場所をとりません。

 メダカはどちらかというと日本の研究者が実験に使う傾向にあります。

 海外で広く使われている魚はゼブラフィッシュです。ゼブラフィッシュは、簡単に飼えるし、受精後たった1日で、脳や血管の大まかな形ができあがるのでメカニズムを研究するのにも最適でした。