健康診断の結果を見る男性写真はイメージです Photo:PIXTA

肝機能の代表的な検査項目で、お酒好きにはおなじみの「γ-GTP」。40代後半から60代前半の男性は平均値が要注意レベルに入るとのデータがあるが、筆者はお酒以外でも数値上昇の危険があると警鐘を鳴らす。本稿は、永田 宏『健診結果の読み方』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

血液中の酵素濃度で肝臓の状態をチェック
ASTとALTは「100」以下ならセーフ!

 健診での肝機能検査の代表は、AST、ALT、γ-GTPの3項目です。この3つは職場健診や特定健診の必須項目に入っています。

 ASTは以前はGOT、ALTはGPTと呼ばれていましたが、国際的な名称変更が行われ、今のようになりました。しかし変わったのは名称だけですから、以前の数字をそのまま参考にすることができます。

 この2つは肝細胞に多く含まれる酵素で、肝臓が障害を受けると、血中に大量に溶けだしてきます。そこで逆に、血液中の濃度を測定すれば、肝臓の状態が推定できるというわけです。

 両者の違いは、それらを多く含んでいる臓器の違いです。ALTは肝臓や胆管だけに多く存在するので、もし血中濃度が上昇してきたら、ほぼ確実にそれらの臓器に問題があることが分かります。一方、ASTは心筋や赤血球中にも多く存在するため、肝臓以外の病気でも上昇することがあります。

 日本人間ドック学会の基準値は、AST、ALTとも表22のようになっています。ただし病院や検査会社によっては異なる基準値を使っていることがあります。御自身の健診結果を見て確認してください。

表22:AST、ALTの基準値同書より転載 拡大画像表示

 AST、ALTとも30U/L(国際単位)以下なら正常と判定されますが、51以上になると「異常」とされます。しかし両方とも100以下なら、多くの医者はあまりうるさいことは言わないでしょう。大抵は経過観察や食事指導、飲酒制限などで済むはずです。

AST・ALTとも500オーバーは赤信号
健診3日前からの断酒で好結果の期待大

 AST、ALTともに100U/L(国際単位)を超えてくると、肝臓に問題ありという判断になります。慢性肝炎や脂肪肝などの可能性が出てきます。その場合、ALTがASTより高ければ、アルコール性肝炎かもしれません。

 また両方とも300を超えると、入院となりそうです。さらに500を超えると急性肝炎の可能性が強くなり、かなり危険な状況と言えます。ただし健診の結果が届くより先に、具合が悪くなって病院に行くことになるでしょう。