生まれつき、3~4カ月しか生きないキリフィッシュはどう頑張っても6カ月は生きられないのです。寿命が遺伝的にプログラムされているんですね。
ちょっとした遺伝子配列の違いが寿命の違いにつながっているのです。
この違いを比べることで、長寿につながる何かがわかる可能性があるのではと石谷太先生(大阪大学微生物病研究所教授)は指摘します。
アフリカの魚から得られたデータが
日本の人間の老化を解明してくれる
キリフィッシュの遺伝子情報からは、積極的に寿命を短くする変異があることも報告されています。
また、さきほど言及した、それぞれ寿命が違うキリフィッシュを比較したときにも、老化に関わる遺伝子に種類があることがわかってきました。
このように、いくつかの系統を比較することで、老化に関わる遺伝子を探れる可能性は高まっています。
では、具体的に、キリフィッシュを使ってどのような実験が行われて、老化の何がわかってきているのでしょうか。
石谷先生が注目しているのが「代謝産物」です。
代謝とは生物の体の中で起こる化学反応のことです。そして代謝産物とは、体の中にできるもののことで、たとえば人間の社会に置きかえていうと、人そのものではなく、人がつくりだす工業製品や食品のイメージです(ちなみに、体の中でいう「人」とはたんぱく質のことです)。
肝臓が代謝の中心を担いますが、肝臓でつくられるグリコーゲンやビタミンなどが代謝産物です。
石谷先生が、なぜ、代謝産物に注目したかというと、「生物がつくりだす代謝産物は、どんな生き物もあまり変わらないのでは」と考えたからです。
このキリフィッシュでの研究の成果を、人の老化とつなげるなら、さまざまな問題があります。
たとえば、生物を構成するたんぱく質の構造は、キリフィッシュと人では同じ哺乳類でも違います。
たとえば、マウスでも、人の病気の治療に開発した薬がマウスではうまくいったものの、人にはまったく効かないケースもよくあります。それはマウスと人では、薬の標的にしたたんぱく質の配列や構造が違うからです。







