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【東京】エンジニア出身の小池淳義氏は、月面でコンピューターチップを製造することを夢見ている。だがまず、地球上でそれを実行できることを証明しなければならない。
小池氏は、日本がかつて支配していた業界で覇権を奪い返そうとする、数千億円規模の国家的プロジェクトの「顔」だ。日本政府の支援を受ける半導体メーカー「Rapidus(ラピダス)」の社長として、全てが計画通りに進み、来年量産を開始した暁には、半導体メーカーの世界上位に躍り出ることを目指している。
2022年創業のラピダスは昨年7月、重要な節目を迎えた。米IBMと共同開発した技術を用い、同社初の回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)の半導体の試作に成功した。間もなく初の生産施設が北海道に完成する。
同社は今年、より多くの潜在顧客に、将来ラピダスに製造委託したい半導体の設計を始めるために必要な情報とツールを提供したい考えだ。
2ナノメートルの試作品をつくること自体が十分に複雑だが、そうした複雑で繊細な製品を経済合理性に見合う規模で生産するのはなおのこと困難だ。
こうした半導体は、人工知能(AI)データセンターやスマートフォン、自動運転車に用いられるプロセッサーに現在不可欠とされるものだ。これらを大規模に生産しているのは、半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)や韓国の サムスン電子 など業界を主導する企業に限られる。業界専門家は、ラピダスがTSMCのような巨大企業に対抗できると潜在顧客に証明するためには、まだ長い道のりがあると指摘する。
それだけでも十分困難な挑戦だというのに、小池氏はより長期的な目標として「ファブ」と呼ばれる半導体工場を月面に建設することを目指している。低重力と宇宙の真空状態により、半導体製造が容易になり、生産性が向上するはずだと考えるからだ。
「それについて非常に真剣に考えている」と同氏は述べた。「もちろん素晴らしい未来、大きな夢を描きたい。ただ、実際のデータ、実際の結果を示す必要がある。それが私の会社にとって鍵になる」







