二重スパイさながらの行動
さらに裁判では、関係者が2024年に英国を訪れた香港の要人警備を担当していた一方で、在英香港人グループのSNS上で「香港高官が訪英する」などと、反政府的な抗議活動を煽るような書き込みも行っていたという。
公務として要人を守ると同時に、反政府的な立場を演じる――まさに二重スパイさながらの行動である。それが意図的な潜入工作なのか、自己アピールのための独断なのかはまだ不明だが、裁判ではさらに新たな事実が明らかにされることだろう。
香港人社会への衝撃、そして日本での沈黙
この一連の事件が香港人社会に引き起こした衝撃は大きい。しかし香港現地のマスコミは、裁判の詳細をほとんど報じていない。詳細を伝えているのは、2019年以降に香港を離れて英国などに移住した元メディア人たちが新たに設立した新興オンラインメディアのみである。
言論空間が急速に狭まった香港では、海外に移住した市民や元メディア人たちが、こうして故郷の「裏の顔」を外から見つめざるを得なくなった。今回の裁判は、まさにそんな香港社会の現実を描き出しつつある。
事件の全容はまだわからない。英国の法廷ではこれからも、これまで人々に知られていなかった事実が明らかにされていくだろう。それは、現代の香港と中国本土の政治をつなぐリアルともいえるかもしれない。
今後続くこの裁判の動向についてもお伝えしたいところだが、ダイヤモンド・オンラインでの連載はこれが最終回となる。今後は筆者の個人noteでお伝えする。日本メディアが伝えない中国・香港の社会事情にご興味のある読者の方々には、ぜひご購読をお願いしたい。








