ユーザー離脱を招いた
パッケージデザインのわずかな変更

 商品パッケージデザインについても、時代の移り変わりに合わせて手を加えている。1994年の初代から現在の9代目(2024年)まで、UCC BLACK無糖のパッケージは9回の世代交代を経てきた。その変遷を一言で表すなら「削ぎ落としの歴史」だ。

 初代は情報量の多いデザインだったが、代を重ねるごとにシンプルかつシャープになっていった。中でも象徴的なのが、金のUCCロゴと白い丸「無糖」アイコンの組み合わせだ。この2要素の一体感こそが、ユーザーにとってのブランドの「顔」として根付いていった。

 しかし、6代目となる2014年のリニューアルでは、その「顔」に手を加えてしまい、失敗を招いた。プレミアム路線をより強調しようと、白丸の無糖のアイコンを黒地に金文字としたところ、ロイヤルユーザーが「いつものBLACK無糖と違う」と離れていく結果になった。

 味の面でも、コンビニのカウンターコーヒーを意識してコクを強めたことが、従来ユーザーとの乖離を生んだ。「白い丸アイコンと金のUCCロゴの一体感こそが、お客さまにとってのブランドの証だったのです」とUCC上島珈琲マーケティング本部飲料マーケティング部の紙谷雄志部長は反省する。

パッケージデザインの変遷パッケージデザインの変遷 写真提供:UCC上島珈琲

 この教訓を踏まえ、2017年以降は原点回帰の路線へ。7代目では「香料無添加」の表記を缶に明記した。2019年の8代目では金蓋を採用するほか、「無糖」マークを立体感のある金表現でさらに強調した。

 そして2024年の30周年を機に刷新された9代目の現行品は、「PRIDE IN BREW(抽出への誇り)」という言葉を缶に刻み、色使いをよりシンプルにまとめた。

 30周年リニューアルでは味わいも磨き上げた。コーヒーの飲み口には「トップ・ミドル・ラスト」という3段階の感覚があり、最初に立ち上がる香り(トップ)、飲み込む途中のコク(ミドル)、後味のキレ(ラスト)のバランスを整えることが重要だ。

「ミドルのボリューム感を少し高めながら、キレをよりシャープにしました。すっと切れる後味のカーブを意識した設計です」と紙谷氏は説明する。この香り、コク、キレの3要素が、発売以来ずっと変わらないブランドの味の柱である。