そのため、人間には「過去の経験」が必要です。
そして、生存にとって重要な「つらい記憶」の方が、「生きる知恵」を生み出すためには役に立ちます。少なくとも、私たちの脳はそう考えているのです。
マイナス思考に陥るのは
生きていく上で仕方がない
人間の脳というのは、生きていく上で便利なようで、不便な器官です。何しろ、人間の脳というのは、よく間違えます。一方、雑草は脳がないおかげで、まっすぐに生きることができます。
「自分はダメな人間だ」とか、「自分には価値がない」と、自分のことを否定する人たちがいます。一方で、「ダメな人間などいない」「あなたには価値がある」となぐさめてくれる人もいます。
「自分はダメだ」とか「自分には価値がない」と脳が感じるのは、ある程度、正常な判断です。とにかく、今の状態が良くないことを脳が察知しています。そして、「(このままでは)自分はダメだ」「(この状況では)自分の価値がない」と、状況の変化を求めているのです。
「このままでは自分はダメだ」「今の状況に価値はない」というのは、状況判断です。
「今のままではダメだ。だから何とかしなければいけない」「この状況では自分の価値が発揮されていない。だから状況を変えなければいけない」
これらの判断は、生物が生き抜く上で、極めて正しい状況判断です。
そして、「今の状況は良くない」と判断するということは、現状に満足するのでなく、より良い環境を求める向上心によるものです。
「状況は良くないけれど、まぁ、今のままでいいや」
「自分の価値が発揮されていないが、このままでいいや」
こう考えた個体は、おそらく厳しい自然界を生き抜くことができなかったのでしょう。
だからこそ、向上心のある個体だけが生き残り、私たちの命につながっているのです。
自分の欠点を直視すると
脳は誤作動を引き起こす
「今のままの状況は望ましくない」という判断をした脳は、生き抜く上で正しい判断です。しかし、人間の脳は間違えます。
まず、自分は環境を変えられると勘違いしています。おまけに、自分も変えられると勘違いしています。そして変えられないものを変えようとして、疲弊していくのです。







