こうした孤独の最大の要因は、周囲から「大変ですね」と共感してもらえても、実際の意思決定を支えて伴走してくれる「対話の相手」がいないことにある。こっそり生成AIを相手に壁打ちをしている経営者も少なくなさそうだ。

 しかし、もしそうであれば、汎用のAIよりも経営者向けに特化したサービスに相談するほうがよいのではないか? 専用サービスは汎用のものとどう違うのか? そんな興味から、中小企業の経営者視点で「学べる・相談できる・議論もできる」という経営支援AI「ばんそうAI」をモニター利用してみた。

AIはあくまで伴走者、主体は経営者自身

「ばんそうAI」の「ばんそう」とは「伴走」のこと。中小企業の孤独な経営者にとっての伴走者となるべく開発されたサービスで、開発元の企業名もそのまま「(株式会社)ばんそう」である。

 公式サイトの概要動画を見ると、その仕組みが見えてくる。「ばんそうAI」は、ユーザー企業の財務やビジネスモデルを理解したうえでアドバイスやコンサルティングを行い、重要な決断に際しては反対意見も提示する。これは、複数のAIエージェントによる合議の仕組みが取り入れられているためだ。

 また、安易に「もっともらしい答え」を出すのではなく、複数の「問い」を返すことでユーザー自身に考えることを促す設計になっている。「重要なのは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを探すことである」とは、経営学の巨人ピーター・ドラッカーの名言だが、「ばんそうAI」の設計思想はまさにこの考えに通じる。あくまで主体は経営者自身であり、多少時間がかかっても本人の中にある理由づけや可能性を引き出しながら経営の舵取りを支えることが重視されているわけだ。

 さらに、AIとのやり取りの中で、より高度な法的判断や専門的知見が必要だと判断された場合には、弁護士や公認会計士などの専門家ネットワークへシームレスにつなぐ導線も用意されている。AIが思考の一次整理を行い、その文脈を保持したまま人間の専門家にバトンタッチすることで、ゼロから相談するよりも迅速かつ的確な実務支援が可能になるという考え方だ。

 では、実際にどのようなやり取りができるのかを見ていこう。