このように、私たちの身体とファッションの不可思議な関係を、精神分析の理論に基づきながら論じたのは哲学者の鷲田清一でした。
私たちにとって自分の体はいままさにスマホやPCをスクロールしていてリアリティのあるものです。ところが自分の身体の全体は、鏡に映るイメージとしてしか把握することができません。
どんなにおしゃれをしても、私たちは自分のおしゃれで自分自身の目を直接楽しませることはできない。鏡の助けがいるのに、私たちはなぜ服を着て飾るのでしょうか。
むしろ、自分の姿の全体が自分自身には見えないけれども、他人には見えているから、私たちは鏡を見るのではないでしょうか。
他人に自分がどう見えているか気になるから、鏡で自分の姿を確認します。そして、他人に自分の服装を見られているように、自分自身も他人の服装を見ているのです。だから、他人がどのように服を着ているのかが、自分のことのように気になるのでしょう。
街を歩いていても他人の服装が目に入ってくるのですから、SNSにいろいろな人の写真が投稿されれば、つい服装や着こなしを見てしまいます。そして、その服装がおしゃれなのか、ダサいのか、羽目を外しているのか、マナーを守っているのか、ついついチェックしてしまいます。
その習性は、いつも片手にスマホをもつ現代人特有のもののように感じられるかもしれません。
ピーコの「ファッションチェック」
しかし昭和に生まれた方なら覚えておられる方も多いと思うのですが、かつてのテレビ番組では、よく「ファッションチェック」を行うコーナーがありました。
街中をゆく人、あるいはスタジオに登場する人のファッションやコーディネートを、ファッションの専門家、デザイナーやスタイリストなどが品評し、どうすればもっとおしゃれになるのかをアドバイスするという内容のものです。
特に有名であったのは、ファッション評論家のピーコ氏によるファッションチェックです。







