ホエイかカゼインか――プロテイン選びに悩んでいませんか。けれど一般の運動習慣なら、その差は思うほど大きくありません。本当に大切なのは、パウダーの種類より、日々の食事でたんぱく質をきちんと摂れているかです。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の新刊『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに解説します。

「プロテインの種類にこだわる人」が見落としていることとは?Photo: Adobe Stock

「ホエイ」も「カゼイン」もあまり関係ない

人間の体は、糖質脂質もどちらもエネルギー源として利用できますが、両方ある場合は糖質を先に使います。

運動すると糖質のストックは15分程度で使いはたすので、運動15分後からやっと脂肪が消費され始めます。「やせるためのウォーキングは30分以上続けましょう」といわれる理由です。

そこで、運動に適した食事を運動前後に分けて考えてみます。

日常の運動は体脂肪減少が主目的でしょうから、運動前は何も食べない方が糖質の枯渇が早くなり、脂肪消費開始も早くなるので効率よくやせられます。

ただし大事な試合がある日は、本番直前にブドウ糖を摂っておく方がエネルギー供給がうまくいき、競技のパフォーマンスがあがります。

一方、運動後は筋疲労があるので、筋肉(と心肺)の回復を助けるような栄養素のすみやかな補給が重要です。

その栄養素とはたんぱく質です。

運動直後のたんぱく質供給源としては、ステーキを食べるよりも、牛乳を飲む方が手軽で現実的です。

粉末のたんぱく質(プロテインパウダー)もいろいろ売られているので、このパウダーを牛乳に混ぜて飲むといいでしょう。

プロテインパウダーの材料としてよく使われているものに、ホエイ、カゼイン、大豆(ソイ)、卵白などがあります。

ホエイとカゼインは牛乳に含まれているたんぱく質です。

ホエイはカゼインに比べ消化から吸収までの速度が速いのが特長で、そのため運動直後のたんぱく質摂取にホエイを勧めているスポーツ関係者は多いです。

しかし、この理論の元となった論文をよく見ると、摂取40分後におけるホエイとカゼインの血中アミノ酸濃度の差は3割程度です。

ということは、摂取40分後だけに限って言えば、ホエイの3割増しのカゼインを摂取すれば効果は同じだということです。

別な言い方をすると、40分後の血中アミノ酸濃度はカゼインはホエイの3割減だということを納得した上で、カゼインを摂取すればいいということです。

3時間以降は血中アミノ酸濃度が逆転してカゼインの方がホエイよりも高くなるので、長い目で見るとどっちも同じということになります。

つまり、ホエイは吸収が速いので運動後の筋肉回復に適している。

一方、カゼインは吸収が遅いので、血中アミノ酸濃度を長い間高く保つことができ、筋肉のメンテナンス向きと言えます。

プロレベルのアスリートはホエイとカゼインを使い分けているのかもしれませんが、一般人にとっては、この違いは微々たるものなので、どのプロテインパウダーを選んでもいいでしょう。

運動後においてプロテインパウダーよりももっと重要なのは、ストレッチと食事のメニューです。

食事で十分量のたんぱく質を摂るのが本来の姿であり、食事の不足分をプロテインパウダーで補うのが正しい考え方です。

(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事』から一部抜粋・編集した記事です。)