退職代行を使っても
転職がうまくいく人の特徴

 いずれにせよ、孤独に思い詰めた状態で良い答えが出てくることはほとんどありません。重要なのは、相談できる社外ネットワークを持っていることです。

 組織側も、社員が社外とのつながりを持つことを奨励するオープンな文化をつくることが大切です。社員の社外ネットワーク形成を支援している企業ほど、社員のキャリア自立が高まり、かえって離職率が下がるという研究結果もあります(Mitchell, T. R., Holtom, B. C., Lee, T. W., Sablynski, C. J., & Erez, M. (2001). Why people stay: Using job embeddedness to predict voluntary turnover. Academy of Management Journal, 44(6), 1102–1121. )。

 アルムナイ(卒業生)制度を整えたり、社外の人との飲食費を補助したりするような取り組みも有効です。「社内の人とばかり飲んでいてはいけない」というくらいのスタンスで社外交流を後押しする企業が、社員の定着に成功していることが多いのです。

 会社がそうしたネットワークを整備していないなら、以前この連載でお話した、久しぶりに会う知人や少し縁遠い先輩のような弱いつながり※を使うとよいでしょう(2025年9月30日《転職の相談を「毎週会う友人にする人」と「たまに会うだけの知人にする人」…“年収が高くなる”のはどっち?》)。会社の中だけで悩んでいると、どうしても視野が狭くなりがちです。社外に話せる人がいるだけで、問題の見え方は変わります。

 ところで退職代行を使ったことは次の採用でわかるのかというと、基本的にはわかりません。

 履歴書に記載する義務はなく、前職への確認も在籍期間や業務内容の確認が中心です。ただし、在職期間が極端に短い場合や、転職理由を自分の言葉で答えられない場合は、退職代行を使ったかどうかではなく「退職という経験を自分のキャリアの文脈でどう意味付けられているか」が問われます。

 手続きは代行できますが、次の面接で語る準備は自分でするしかありません。退職代行を使ったとしても、自分の言葉で「なぜ辞めたのか」「そこから何を学んだか」を語れる人と、そうでない人では、次のキャリアの選択肢の幅が大きく変わります。

 退職という意思決定をきちんと自分のキャリア観に照らして考えることが、次のステップへの土台になります。

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