通話件数や応対時間といった数値目標の達成度合い以外にも、「顧客がふと漏らす不満や要望を丁寧に辛抱強く聞いてきた」という経験もきっとあるはずです。
これらは一見、評価項目に直結しない「余白」の業務と見なされがちです。
しかし、ちょっと視点を変えてみると、実はこのような「顧客の声を丁寧に拾い上げるスキル」は、商品開発職やプロダクト・マネージャー職など顧客心理を読み取ってチームを改善に導く仕事でも大いに役立ちます。
顧客の潜在ニーズを言語化し、開発部門へ翻訳する能力は、プロダクトの市場適合性を高める核心的なプロセスだと言えるからです。
「コールセンター職員」と「プロダクト・マネージャー」。
この2つは、一見、ほとんど関連性がなさそうな職種です。
しかし、実は、「エンドユーザーの困りごとを特定して、自社商材の改善につなげていく」というミッションにおいて共通性があります。
ある意味、過去の仕事の中で、何千人もの異なる顧客の声をひたすら辛抱強く聞いてきた経験のある人は、これまでにプロダクト・マネジメントの職種経験しかない人と比べて、
「顧客像の理解や豊富なケーススタディに強みを持つ貴重な人材だ」
と評価される可能性があります。
面接でのアピール方法としては、例えば、「自社商材のどこにどのような顧客のペイン・ポイント(困りごと)があるのかを明らかにするための市場調査や、顧客インサイトを明らかにするインタビューなどに自分の経験を生かすことができる」と説明できそうです。
履歴書上の経験にはない
ストーリーを面接で語る
このように、自分では「あまり評価に直結しない」「職務記述書に記載できない」と思っていたような、業務の余白のような要素でも、丁寧に拾い上げて企業目線で言語化することによって、「転職先の仕事で即戦力になれる」と評価される決定打につながることも実際にあります。
応募企業の課題を事前に分析し、自身の経験をその課題解決プロセスへ論理的に結合することで、「一見関係がなさそうな経験」であっても、「高く評価される経験」として言い換えて克服することができます。
『ドラゴンクエスト3』の遊び人が賢者に転職できたのは、もしかしたら、過去ずっと「遊び」という余白を日々積み重ねてきたことが、「一瞬のひらめき」や「大胆な発想」など賢者として働くために重要な要素につながっていた、と説明できるのかもしれません。
このように、一見つながりが見つけられないように思える複数のポジションを、上手く工夫してつなぎ合わせ、経験を生かすストーリーを語るのが大事なのです。
『定年までこのまま働き続けるのはちょっと…と思ったら読む 40代からの転職と副業』(安斎響市、扶桑社)
転職活動の面接とは、
「履歴書上の経験の一致度合い」を競う場ではありません。
ここまで説明してきた通り、採用面接とは、あくまで
「あなたを採用すると、企業側にどのようなメリットがあるか」という情報を、できるだけたくさん、具体的に、説得力と共に面接官に提供する場です。
その内容自体は、説得力と再現性さえあれば、どんな中身でも構いません。
それが具体的にどんな内容だったとしても、過去の経験を上手につなぎ合わせて、「企業から見た明確な採用メリット」に接続した先にこそ、未来の一手があるのです。







