「あんなに好きだったのに、なんで相手にがっかりしてしまうんだろう」「せっかく付き合えたのにケンカばかり」「相手のどこが良かったのか思い出せない」と恋愛に悩む人におすすめなのが書籍『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』(キム・ソクチェ著/岡崎暢子訳)だ。本書は、神経内科専門医として脳科学分野の第一線で活躍する著者が、「感情や欲望に振り回されずに生きる方法」を、脳科学・心理学・哲学の視点から解説。恋愛に関する章では、自分の感情に振り回されずに、確かな愛を築いていく方法を紹介している。本記事では本書の発売を記念して、その内容を一部抜粋・再編集して紹介する。

「あれ? もう全然好きじゃないかも…」ラブラブ期は長く持って2年。なぜ急激に愛は冷めるのか?Photo: Adobe Stock

恋の魔法=ドーパミンの働きにすぎない

恋愛初期の脳は、まるで「ドーパミン生産工場」

ドーパミンは、快楽や報酬、モチベーションを担当するホルモンですね。

好きな相手を見るたびに脳は、「ああ、尊い。最高の報酬!」と信号を発信し、相手からのLINE着信にドキドキした瞬間、脳内は緊張と興奮に包まれます。

「あの人は私のことをどう思っている?」

そんなトキメキと期待も、脳内では驚くほど強烈な反応として立ち上がります。

恋に落ちたときのこうした魔法をかけられたような感覚も、ドーパミンの働きにほかなりません。

ドーパミン大放出で相手のすべてが尊く見える

ドーパミンが平常時よりも大放出されているわけですから、人の行動も劇的に変わって当然です。気持ちはいつもうわの空で、時間はあっという間に過ぎていきます。

しかしエネルギーだけは無限にわいてくる。

感覚は鋭くなり、好きな相手のにおいや言葉、小さな行動の1つひとつに意味を与え、普段はしないような言動も、なんの抵抗もなくやってしまいます。

運動が苦手なのに「私も登山が好き!」と言ってみたり、無口なのに相手の前ではやたら饒舌になったり。

そんな柄にもない言動をとってしまう理由も、脳が一時的にドーパミンに誘惑されている状態だからです。

長くて2年。魔法が解ける瞬間

しかしこの恍惚とした時期も長くは続きません。

一定期間を過ぎるとドーパミンの値が正常値へ向かうからです。こうした変化は、通常、半年から2年の間に訪れます。

相手のちょっとしたクセが気に障ったり、かつては愛らしく思えていた行動が耐えられなくなったりする、いわゆる「ラブラブ期の終わり」です。

「この人のどこがそんなによかったっけ?」という疑問が頭をもたげ、ドーパミンの魔法が一気に解け出すというわけです。

ドキドキ恋愛から深く安定した「愛着」への変化

しかし、ドーパミン値が減ったからといって愛が終わるわけではありません。

むしろ「二人の関係がネクストステージに進化している」というサインです。

ショーペンハウアーの表現を借りれば「自然の策略は終わった」と言えるでしょうが、実際にはもっと深く安定した「愛着」の段階に移り変わる時期でもあります。

この時期をうまく乗り越えられれば、愛は舞台上の華やかなスポットライトを外れて、日常の光の中で相手をまっすぐ見つめられる「成熟した姿」となり、続いていくのです。

(本稿は『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』から一部抜粋・再編集した記事です)