「あんなに好きだったのに、なんで相手にがっかりしてしまうんだろう」「せっかく付き合えたのにケンカばかり」「付き合った途端、急激に気持ちが冷めてしまった」と恋愛に悩む人におすすめなのが書籍『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』(キム・ソクチェ著/岡崎暢子訳)だ。本書は、神経内科専門医として脳科学分野の第一線で活躍する著者が、「感情や欲望に振り回されずに生きる方法」を、脳科学・心理学・哲学の視点から解説。恋愛に関する章では、自分の感情に振り回されずに、確かな愛を築いていく方法を紹介している。本記事では本書の発売を記念して、その内容を一部抜粋・再編集して紹介する。

「あんなに好きだったのに…」なぜ愛は急に冷めるのか?Photo: Adobe Stock

「あなた、変わったわ」

恋愛初期には相手を理想化する傾向が見られます。

まさに「あばたもえくぼ」で、ちょっとした欠点も魅力的な個性だと考えてしまうのです。

しかし、これはあくまでも恋愛初期に作動する心理的装置にすぎず、永遠に続くものではありません。

時が経つにつれ、恋愛初期に大放出されるドーパミンの魔法が解けて、相手のことをあるがままに見られるようになります。

理想と現実のギャップをまざまざと見せつけられるわけです。

「理想」と「現実」のギャップでどんどん冷めていく

社会心理学ではこうした状況を「認知的不協和」といいますが、理想と現実のギャップを目の当たりにするたびに、驚いたりがっかりしたりしながら、いつしか付き合い始めの頃の情熱も冷めていることに気づきます。

その瞬間、感情は一気にトーンダウンしていくのです。

「愛が冷めた」のではなく、「愛し方が変わっていく段階」

問題はこの変化を、「愛が冷めたのだ」と勘違いしてしまう点にありますが、そうではありません。

愛が冷めたのではなく、愛し方が変わっていく段階なのです。

この時期は、幻想が砕け散った空間に、「現実的な信頼」と「相手への思いやり」が入り込む準備運動をしている段階だと思えばいいでしょう。

「前のほうが良かったのに…」

こうした過渡期をうまく乗り越えられないカップルは、危機的状況へと向かっていきます。

とくに「がっかり」続きの場合、良かった頃と今を比べては「以前は良かったのに」と相手を責めてしまいがちです。

そんなとき、たいていは相手が変わったのではなく、相手に対する自分の期待値が変わっているのです。

簡単に言えば「期待のしすぎ」ですね。

この期待の不一致を相手側の問題にしてしまうから、相手もたまりません。

結局、気持ちが遠ざかり、最悪の場合は終焉を迎えます。

愛を長続きさせる方法とは?

このピンチをチャンスに変えるためには、期待ではなく現実に即した関係の再設計が必要です。

「なんで変わっちゃったんだろう?」という問いの代わりに「私たちの関係は今、どんな状態だろう?」と考えてみてください。

理想化の魔法が解けた跡地には、現実的な信頼と安定した親密感が育っていきます。

感情の姿は変わっても、関係はむしろ深まり、ゆるぎないものになっていくのです。

(本稿は『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』から一部抜粋・再編集した記事です)