森七菜さん主演の映画『炎上』が、公開から連日満席で話題だ。歌舞伎町・トー横に集う若者を描いた本作で監督・脚本を務めるのは、サラリーマンでありながらサンダンス映画祭で日本人初のグランプリを受賞した長久允氏。その思考法を存分に伝える『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』から、抜粋・再構成し、作品づくりの根幹に迫る。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
スタートには必ず「怒り」と「悲しみ」がある
私はニコニコしているけれど、いつも怒っている。いつも悲しんでいる。
私の映画を観てもらったらバレてるかもしれないけれど。
いつもスタートは「怒り」と「悲しみ」です。
10代の自殺率が高いという「怒り」と「悲しみ」。
性教育に対して男性が無知すぎるし、社会構造が女性に不利すぎるという「怒り」と「悲しみ」。
政治や事件、もっと細かな日常の「怒り」と「悲しみ」。たとえば、
どうして夫婦ってこんなことで喧嘩してしまうの? とか、
どうして受験ってこうなっているの? とか、
どうして食品流通ってこんなにブラックボックスなの? とか、
どうしてあの友人は陰謀論にハマってしまったの? とか。
そういう「怒り」と「悲しみ」で私の人生は溢れています。(本当は穏やかに過ごしたいのに!)
自分にしかできない仕事の生み出し方
その「怒り」と「悲しみ」に対して、私ができることは何だろうか。
政治家ではないのでルールを変えて解決させることはできません。
しかし自分が持つスキルとして「脚本を書く/映画を作る」というものがあるので、それを使ってできることをしたいという使命感が常にあります。
たとえば、前述した「10代の自殺率が高い」というニュースを目にして、私は過去の自殺を考えた自分を思い出し、また現在、同じように悩む彼ら彼女たちが絶望を感じないで済むような映画を作るべきだと思いました。
それが『WE ARE LITTLE ZOMBIES(ウィーアーリトルゾンビーズ)』という映画の始まりです。
もうひとつ例を挙げるなら、「性教育に対して男性が無知すぎるし、社会構造が女性に不利すぎる」点について描くべきだと感じ、私は『FM999』というドラマを制作しました。
「女って何?」という16歳の女性の疑問に対して、30人の女性たちが現れ、それぞれに違う経験と所感を歌で伝えていく、というミュージカルです。
このように、いつだって、より個人的な怒りと悲しみから端を発して、「私はこれを作るべきである」と思い込み、行動を起こしています。
たった一人の感情が、最も世界に届く
そしてそれが、結果的には人種も国も超えて、最も多くの人に伝わるのです。
逆に言うと、「ちょっとおもしろい話になりそ~だな~」というアイデアを思いついたとしても、それだけで脚本を書くことはほとんどありません。
単純に「おもしろい物語」に価値があるとは別段思っていないからです。
「おもしろい企画」よりも「それをやるべき理由」が私にとって大事なのです。

世界が注目する脚本家が初めて明かす、
「自分にしかできない仕事」のつくりかた
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佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさん絶賛!
「それっぽいもの」ではなく、
「本当に心を動かすもの」を
表現がいまいちしっくりこない。
この仕事、自分がやらなくてもいいような気がする。
もっとおもしろいものを作りたい。
そんな悩みに、現役サラリーマンでありながら、海外の映画賞で「日本人初」の快挙を総ナメしてきた著者が答えます。
どうしたら、自分だけの表現をし、それを成果に結びつけられるのか。
どんな人でも、「あなたにしか作れない作品」を生み出せるようになる、まったく新しい脚本術が誕生しました!

本当のことしか書いていない。
これからの「世界のスタンダード」を伝える一冊
いま世界で本当に評価されるものは、「何かに似ているもの」ではありません。
ハリウッドで必ず聞かれること。それは、
“What’s your VOICE?”
あなたのボイスは何ですか?
ということです。
つまり、他の誰でもない「あなたが」何を伝えたいか、ということ。
では具体的にどうすればいいのか。
すべてを自分で切り開いてきた著者が、包み隠さず伝えます。
真剣に表現したいと思う人、自分らしさを失わずに働きたいと思う人に、とても響く内容です。
本書の内容
はじめに
「この本の結論を先に言います。」
「それっぽいもの」は最低だぜ!
王道の脚本方式と完全自己流の脚本方式をミックスして
そもそも脚本家ってどうやってなったらいいかわからない問題
Lesson0 世界一になるまでの変則ルート
「私が映画を作ったのは32歳から! おせ~!」
一度は夢をあきらめて、就職! (挫折期)
CMプランナーから、店頭ビデオプランナーに (朦朧期)
倒れて気づく。「クライアントは自分」
そして世界一。日本人初の快挙を、まさか私が。
「そもそも映画ってなんなの?」
Lesson1 何を書く?
「脚本ってなんですか?」
設計図としての書式
Step0 私は何を書くべきなのかを見つける
Lesson2 王道! ハリウッド式脚本法
「で、どうやって書くの?」
Step1 「ログライン」を書く
Step2 登場人物を作り込む
Step3 3幕構成にする
Step4 シーンを作る シーンカード入れ替え検証
Step5 セリフとト書きを書く
Interval あなたが天才かどうかという重要な話。
Lesson3 誰でもできる長久式脚本法
「めっちゃ変な書き方。それでいい。」
Step1 はじめに「怒り」と「悲しみ」がある
Step2 音楽を見つける
Step3 エンドロールの歌詞を書く
Step4 映画のタイトルを決める
Step5 ポエトリーリーディング脚本法
Step6 そのセリフをシーンや人物に振り分ける
Step7 音だけの2時間映画を作る
Step8 直し続ける
Lesson4 迷ったとき役立つかもしれない裏技集
「何も浮かばないよ!」
裏技1 絶対に誰にも言いたくない思い出を書く。
裏技2 SNSには書けない「よくない感情」という金脈
裏技3 会話のセリフがうまく書けないなら
裏技4 設定がうまく伝わってないと感じたら
裏技5 タイトルから考えちゃうっていうのはどう?
裏技6 「ポエトリーリーディング脚本法」に欠かせない号泣プレイリスト
裏技7 「うまい」は敵!
裏技8 極論! 10年書かないでみる
裏技9 おもしろくなくてもいいじゃないか(本気で言っている)
Lesson5 書いたあとどうする?
「映像化しちゃう?」
お金集めをどうするか(自腹、賞金、クラファンそれぞれのやり方)
予算別! 映画の作り方(10万円、100万円、1000万円)
実写映画撮影現場での時間削減工夫集(事前準備と心持ち)
ロケ場所についての具体的解決案
Lesson6 あなたにしか作れないものがある
「情緒不安定なあなたは向いている」
「当事者しか知らない感情がある」
「だから、本当のことしか書かない」……