その効果もあって、eビターラの割安感は尋常ならざるものとなっている。補助金を勘案すると、最高グレードの電動AWD(4輪駆動)版が実質365.8万円、バッテリー容量が49kWhの短距離版(公称航続距離433km)に至っては実質266.3万円に“値下がり”する。

 とはいえ、クルマの性能や品質が期待に応えるものでなければ、ただの安かろう悪かろうで終わってしまう。そこでeビターラがどんなクルマに仕上がっているか、ロードテストを行ってチェックしてみた。

【eビターラ概要】
全長4275×全幅1800×全高1640mm、最低地上高185mmの小型クロスオーバー。
電動パワートレインはトヨタ系、バッテリーは中国BYDのリン酸鉄リチウムイオン電池、プラットフォームは自社開発と、他企業との連携を最大限生かして開発された。
海外ではトヨタ向けにデザイン違いの「アーバンクルーザー」としてOEM供給する。
生産はインド・グジャラート州のアーメダバード。

 ロードテスト車のグレードは「Z 4WD」。容量61kWhのバッテリーパック、前後アクスルに電気モーターを1基ずつ搭載するトップグレードである。試乗ルートは横浜を起点とする首都圏~北関東周遊で、総走行距離433.8km。

【総論レビュー】

 eビターラは決して高性能ではないが必要十分な走行性能と航続距離、そして機能、広さ、快適性を持つBEVだった。直したほうがいい弱点もいくつか抱えてはいたが、致命的なものではなく、全般的に大変コストパフォーマンスの高いクルマに仕上がっている印象だ。

 基本的には、スズキ流のコストコントロールを細部にまで行き渡らせたバジェットカーだ。ドアトリムがソフトパッドでなくハードプラスチックで、ピアノブラックパネルはじめ加飾部材もグレードは高くない。が、デザイン上の巧みな工夫や演出でそれが気にならない。

 装備も思いのほか充実している。スズキの鈴木俊宏社長は今後も全てのモデルで装備を厳選し、低価格を実現する方針を打ち出しているが、eビターラを見るに、それは単なるケチケチ作戦ではないことがうかがえた。

 というのも夜間走行中、ヘッドランプの配光が対向車や先行車を避けるようスッと変化するのを見た時は、「スズキ車にアクティブハイビームが装備されるようになったのか」と感動した。固定式だがハーフグラストップが標準で付き、オーディオがインフィニティブランドで、プチ贅沢もあった。安いクルマだなと思って乗ると、思わぬボーナスでお得な気分になる。

ヘッドランプ一見何の変哲もないヘッドランプだが、先行車や対向車を避けてハイビーム照射するアクティブハイビームが仕込まれていた Photo by K.I.