絶対に言ってはいけない…粉飾決算を招く“会議のNGワード”とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

ニデックやKDDI子会社など、会計不正は定期的に世間を騒がせている。不正は必ずしも明確に悪人がいて起こるものではない。不正が起きるメカニズムを実務の現場での段階に焦点を当てて解明する。(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)

ニデックより恐ろしい「普通の人」による粉飾決算

 先般、ニデックの会計問題が注目を集めた。これは権力が集中する強いトップの圧力のもとで現場が数字を作るという、ある意味わかりやすい構図だった。強烈なプレッシャーが組織をゆがめたのだと説明できる。だが、粉飾決算はいつもそう明確な形で起きるわけではない。

 むしろ本当に厄介なのは、もっと静かに、もっと事務的に、もっと普通に始まるケースである。怒号は飛ばない。机も叩かれない。経営者が露骨に「数字を作れ」と命じるわけでもない。それでも、気づけば組織は不正の側へと舵を切っている。

 しかも、その場にいる人たちは悪人ではない。責任感があり、会社を守ろうとし、与えられた役割をきちんと果たそうとする人たちである。では、なぜそうした人々が、普通の人のまま不正の担い手になってしまうのか。

 心理学者アルバート・バンデューラのいう「道徳的離脱」にその問いへの手掛かりがある。人は普通、自分の行為を内側から規制しているが、一定の条件がそろうと、その自己規制は機能しなくなる。自分を悪人と思わないまま、悪事に踏み入るのである。

 これから示す7つの段階は、バンデューラの議論を土台に、粉飾決算という組織不正の進行過程を実務の現場で見えやすい順序へと組み替えたものである。教科書的整理ではなく、会議室の中で何が起きているかを読み解くための、現場向けの再編である。