「何が正解かわからない…」AIと戦争の時代に、「どこで働くか」より大事な“たった一つの選択”写真はイメージです Photo:PIXTA

AIのめざましい発展、アメリカのイラン爆撃など、めまぐるしく動く世界を前に、この時代をどのように生き抜けばよいのか、誰もが迷っているのではないか。新年度を迎えるに当たって、おおまかに3つのロールモデルを考えてみた。(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)

さまざまなバックグラウンドの知人たちの選択

 イスラエルとアメリカがイランを空爆した翌日、ある経営者と食事をともにした。彼はこう口を開いた。「何が正解なのか、もうわからなくなっています。中国もアメリカも情勢が不安定で、AIは業務をまるっきり変えてしまう。雇用を奪うことはほぼ確実だが、それでも投資の手は止められない。」

 表情には焦りがにじんでいた。漠然とした不安というより、出口の見えない切迫感だ。彼の会社は海外売上比率が高く、地政学リスクの影響は直接的に業績へ跳ね返る。競合も投資しているからAIを導入しなければ競争力は削られる。しかし導入すれば、人員構成の見直しは避けられない。

「前に進まなければならない。しかし、どの方向に進むべきかが見えない」そういう状況なのだ。

 別の機会にセミナーで話した大手メーカー勤務の40代の管理職は、対照的にこう言い切った。「こういう局面こそ、大企業が有利です。個人で時代の波をかぶるのはリスクが高すぎる」

 彼は経営企画部門に在籍し、主にリスクマネジメントに従事している。毎日世界情勢のレポートに目を通している。「個人が地政学の力学に対抗できるわけがない」。冷静で、論拠のある見方だ。

 一方、スタートアップに転じた30代の社員はまったく異なる表情を見せる。「逆ですよ。今動かなければ、いつ動くんですか。波が荒いときほど、小回りの利く船のほうが速く動ける」。彼はAIを活用したサービスの提供企業に転職した。大企業が意思決定するまでのタイムラグをビジネスチャンスと捉えている。

 三者三様の考え方だ。しかし、どれも合理的であり、誰も間違っていない。