やらなくてはいけないことがたくさんあるのに、まったくやる気が出ない。そんな経験がある人は少なくないだろう。『人生アップデート大全――停滞した自分を変える66の習慣』(ダイヤモンド社)の著者・池田貴将氏は、「行動できないのは意志が弱いせいではない」と語る。今回は池田氏に、日常に潜む停滞のパターンとその乗り越え方について伺った。(取材/ダイヤモンド社・林えり、構成・文/照宮遼子)
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誰にでもやる気が起きないときはある
――池田さんご自身は「停滞」を感じることはあるんですか?
池田貴将(以下、池田):もちろんあります。僕の中では「ミニ停滞」のようなものがあって、1日の中でも12時から午後3時半が「魔の時間」なんです。一人でいると、この時間帯がバミューダトライアングルみたいになって、眠くなったり、この世のすべてが嫌になったりします(笑)。
――池田さんでもこの世のすべてが嫌になることがあるんですね! でも、なぜ停滞している時間までわかるんですか?
池田:10分ごとに自分のやっていることを書き出しているからです。記録するたびに一歩引いて見られるので、スイッチも切り替えやすくなります。魔の時間帯がきても「また来たな」と受け止めて対処できるんです。
――記録することで、停滞に飲み込まれにくくなるんですね。
池田:はい。記録していると、「停滞の傾向」も見えてきます。たとえば、僕の場合は、娘を保育園に送ったあとカフェに行くと、最初の10分くらいは頭がぼーっとしているんです。そこでなんとなくスマホを見続けてしまう、というパターンも見えてくる。こんなふうに、自分の行動パターンの解像度が上がると、どのように対処すればいいかも見つかるんです。
「やる気が出ない」状態から抜け出す方法とは?
――やる気が起きない時間は、どうやって対処しているんですか?
池田:やる気が出ないなと思ったら、家で「冷たいシャワーを浴びる」ようにしています。停滞しているときは、意識がずっと「自分の内側」に向いてしまっている状態なんです。そのまま動かないと、不安や心配なことが出てきて、だんだん気分が落ちてしまいます。
意識を強制的に「内側」から「外側」に向ける
――冷たいシャワーを浴びると、思考がリセットされる感じでしょうか?
池田:感覚的にはそうです。ただ、なぜ効くかというと、冷たい刺激が入ることで、意識が強制的に外側に向くんです。アドレナリンが出て、体が一気に目覚める。滝行や寒風摩擦と同じような原理です。シャワーを浴びられない人は、冷たい水などで顔を洗うのもおすすめです。できれば氷の張った水だとなおいいですね。
池田貴将氏 写真:照宮遼子
停滞の正体は「暇」
――池田さんは、自分がうまくいっていないときに、他人のことをうらやましいと思うことはありますか?
池田:ありますね。そういうときは、「あ、自分は暇なんだな」と思うようにしています。誰かをうらやましく思えるくらい、ある程度余裕がある状態なんです。本当にやりたいことに集中しているときって、他人のことはあまり気になりませんよね。
――感情というより、そのときの状態の問題なんですね。
池田:そうですね。ただ、嫉妬自体は悪いものだとは思っていません。ちゃんと感情を分解して向き合えば、自分が本当に望んでいる方向性が見えてきて、前に進む力に変わっていきます。嫉妬は、ただのネガティブな感情ではなくて、「自分の状態を教えてくれるサイン」でもあるんです。
嫉妬は自分の目指す方向を示す「サイン」
――嫉妬が羅針盤になる、ということですね。
池田:モヤモヤや焦りを感じているときって、実は「自分が動きたい方向をもう知っている」ことが多いと思うんです。だから、そこから目をそらさないことが大事になってきます。そういう気づきを日々の習慣に落とし込んだのが、『人生アップデート大全』です。モヤモヤを感じたときに、パラパラめくってもらって、停滞から少しでも抜け出すきっかけになれば嬉しいですね。
池田貴将氏 写真:照宮遼子
(本稿は『人生アップデート大全』に関する特別投稿です)
株式会社オープンプラットフォーム代表取締役
リーダーシップおよび行動心理学の研究者。早稲田大学卒。
大学在学中に渡米し、コーチング理論を学んだ経験をもとに起業。セミナーを開催すると、たちまち「ラクにすごい結果が出た」「説明がおもしろくて理解しやすい」と企業リーダーたちの間で評判になり、ファンやリピーターが急増した。
現在はビジネスリーダー向けのスクールを主宰し、「行動を生む心理学」と「人格形成に関する知見」を統合した独自メソッドを伝えている。常に海外の最新の研究や文献を取り入れながら内容をアップデートしており、エグゼクティブやアスリートをはじめとするプロフェッショナル層から高い支持を得ている。
著書に『人生アップデート大全――停滞した自分を変える66の習慣』(ダイヤモンド社)、『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』『図解 モチベーション大百科』(共にサンクチュアリ出版)などがある。











