この現象は、プロスペクト理論(1979年、ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキー提唱)の「感応度逓減性」で説明できます。
これは、金額が大きくなるほど、その増減に対する心理的な感覚が鈍くなるという現象です。1000万円の差は大きく感じても、1000万円が1010万円になってもあまりうれしくない――あの感覚です。
大金を手にした人は「少し大きな金額なら大したことない」という感覚に陥り、リスクに対する感覚が麻痺してしまうのです。
大金を手にした超富裕層の
行動は何が違うのか?
写真はイメージです Photo:PIXTA
一方、長く資産を守り続けている超富裕層の方々は、大金が入ったときの行動が全く異なります。
ある資産家の方は、大型の不動産売却で20億円の利益を得た翌日も、いつもと同じ時間に起き、いつもと同じ朝食を召し上がり、いつもと同じ仕事をされていました。
「おめでとうございます」とお声がけすると、「ありがとう。でもこれは次の種まきのための資金だからね」とおっしゃいました。
また、別の方は、株式投資で8億円もの大きな利益を上げた際、「勝った分の半分は必ず確保する。残り半分で次を考える」と決めており、どんなに大きな利益でもこのルールを崩すことはありませんでした。
超富裕層の方々にとって、お金は「消費するもの」ではなく「次を生み出すもの」という認識が、心理的にも完全に定着しています。メンタル・アカウンティングの罠が、そもそも発動しない状態と言えるかもしれません。
出所がどうであれ、金額がいくらであれ、「このお金で次に何を生み出すか」という視点で一貫して判断する。この哲学的な違いが、長期的な資産形成の成否を分けるのです。







