なぜアンソロピックのミトスが
世界を震撼させているのか
またしても、アンソロピックが世界を驚かせている。同社は2月、AIモデルのクロードに新機能を搭載。財務データ分析、法的な契約書の作成などの精度・スピードとも格段に上がった。その影響で、ソフトウエア企業の優位性が失われるとの懸念が高まり、2月3日は世界全体で約2850億ドル(約45兆円)の株式の時価総額が吹き飛んだとの試算もある。
AIは、イラン戦争でも重要な役割を果たした。米国とイスラエルはアンソロピックのAIなどを活用し、迅速に目標を特定し攻撃したといわれている。
4月、アンソロピックは、一部限定でミトスの利用を開始した。利用できるのは、マイクロソフトやアップルなど50の組織だという。ミトスがあまりにも強力な能力を持つため、悪用のリスクを考慮して一般公開を見送ったのだ。
ミトスは、サイバー・セキュリティーの脆弱性を検知する能力が高い。その操作として、数千もの開発者が未認識で、修正策もない危険個所(ゼロデイ脆弱性)を検知したという。過去27年間、未検知だったバグが判明したOSもあった。
さらに、たった1回の試行でシステムの弱点を洗い出す精度が格段に高いそうだ。従来、専門家は、試行錯誤を重ねてシステムの脆弱性を評価してきた。実際に仮説を検証するため、ウイルスなどの攻撃を疑似的に行い、それを是正するものだ。
瞬時にシステムの弱点を特定し攻撃するミトスに対して、第三者の評価は高い。英国政府機関であるAI Security Instituteは、高レベルのテストでミトスが悪意ある攻撃を行った場合、検知能力の割合は73%と報告した。また、米ソフトウエア企業のアーマーコードは、ミトスの検知・攻撃能力は83%と評価している。
本来そうした能力は、私たちの安心安全を高めるためのツールであるべきだ。アンソロピックも、そうした価値観に基づいてミトスを開発した。
しかし想定以上に、ミトスはサイバー・セキュリティー攻撃につながる力を発揮した。AIが暴走する危険性を、改めて認識することになった関係各所は慌てている。







