国内金融システムも標的に
サイバー攻撃リスクは高まる
ミトスの発表直後から、米欧の中央銀行や金融監督当局は、金融機関トップと緊急会合を行った。その目的は、万が一サイバー攻撃が発生した場合、現体制でどのように対応するかについてだといわれている。
現在のシステム運用に懸念はないか。問題が生じた場合、金融システムにどういった影響があるか――。潜在的なリスク要因を含め、ミトスが悪用された場合の対応を整備するためだろう。それは、急加速するAIの非連続な進化に備えるためともいえる。
折しもイラン戦争で、AIの能力と脅威が明確になった。米軍のパトリオットミサイル(PAC3)は、1発約400万ドル(約6.3億円)といわれるが、高額兵器を投入しても、トランプ大統領の想定通りに戦闘は終結しなかった。対抗するイランは、安価なドローンにAIを搭載し、ホルムズ海峡を実質封鎖した。
その構図は、世界経済の発展プロセスにも当てはまる。主要先進国は、公共投資を重ねて工業化を推進し、固定通信網などのインフラ整備を推進した。ITシステム、サイバー・セキュリティーの構築に、多くのコストをかけた。
一方、デジタル化の加速により新興国・途上国は、先進国が経験しなかったプロセスで成長している。例えばアフリカ諸国では、移動基地局を敷設し、スマホに搭載されたアプリで銀行、医療、教育などのサービスを利用する。中国は、政府が補助金を支給して、先端分野で大量生産体制を確立した。
これからもAIの成長で、世界の非連続、非対称な変化は加速する。わが国は、そうした変化にうまく対応できるのか。恐らく多くの国民が不安だろう。国内では依然として、紙ベースの業務に拘泥する組織もある。そうした発想でAIの世紀に対応することは難しい。
とりわけ国内の金融機関の対応力は楽観できない。大手行ではシステム開発の不備が重なり、ATMの利用停止が起きたケースも記憶に新しい。ミトスのような強力なAIが使われ始めると、国内金融システムがサイバー攻撃の標的になるリスクは高まるだろう。







