トクホなら安心、「健康食品」も同じように効く――そう思って選んでいませんか。けれど両者は似ているようで、まったく別物です。広告の言葉に流される前に、本当に信じるべき情報を見極めるにはどうすればいいのでしょうか?
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の新刊『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに解説します。
「健康食品」だけでは効果が証明できていない
日本の法律では、口から入るものは食品か医薬品のどちらかに分類されます。
人体を変化させる効果、すなわち機能性が証明されているものが医薬品で、効果が証明されていないものは食品になります。
しかし、「食品にも機能性はある」ということで1991年に「特定保健用食品制度」ができ、機能性が証明された食品は「保健機能食品」と呼んでいいことになりました。
保健機能食品は
①「特定保健用食品」
②「機能性表示食品」
③「栄養機能食品」
の3つに分けられます。
以下この3つを簡単に説明します。
①「特定保健用食品」はいわゆるトクホと呼ばれているもので、科学的根拠に基づいた機能を表示した食品です。
最も許可ハードルが高く、それなりに効果はあると思っていいでしょう。
表示されている効果や安全性については国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可しています。
科学的根拠を示すための実験は、手間がかかり、事務的な申請も複雑です。
「特定保健用食品」にはトクホのマークが表示されています。
②「機能性表示食品」は、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能を表示した食品です。
この「事業者の責任において」というのがポイントで、消費者庁長官が許可したわけではありません。
「たとえ効果がなくても公的には責任を持ちませんよ」というスタンスです。
③「栄養機能食品」は最もハードルが低く、ビタミンやミネラルなどの栄養成分を一定の基準量で含む食品であれば、特に届出をしなくても表示してよいことになっています。
前記3つの「保健機能食品」以外の、「いわゆる健康食品」は公的な検査に合格しておらず、一般食品のグループに入ります。
一般食品には法律的に表示の規制があるので、「健康食品」「機能性食品」「栄養補助食品」「健康補助食品」「サプリメント」「自然食品」などのまぎらわしい名称がつけられていることもあります。
このような名称の食品は、機能性の証明ができていません。
したがって、たとえば「この食品は血圧を下げます」と言うと法律違反になります。
よって「血圧が高めの人に適した……」のような宣伝文句になるわけです。
「保健機能食品」に効果があったとしても、それはあくまで食品です。
医薬品の効果には遠く及びません。ましてや「いわゆる健康食品」には期待しない方が無難です。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』から一部抜粋・編集した記事です。)
●東京農大名誉教授・栄養学の専門家である医者が教える「栄養学的に正しい」食事の大原則
●「健康」はもちろん、ダイエットから仕事まで「いつもの食事」が人生を変える!
世間には数多くの健康法があふれています。
そして健康意識の高い人ほど、新しい情報を入手し、自分の生活に取り入れています。
しかし、その結果「本当の健康」を得られている人はどれほどいるでしょうか。
ひとつの論文やエビデンスだけを信じた食事では、栄養が偏ってしまいます。
また「健康意識」の高まりを狙った企業のマーケティングの影響で「必要のない食品」や「効果の薄いサプリ」を購入してしまう可能性もあるのです。
そんななか、食事対する必須知識として「栄養学」への関心が高まっています。
本書では、東京農業大学で栄養学と生理学の研究を続け、医師でもある著者が「栄養学的に正しい」最高の食事術を紹介します。
誤解しがちな栄養に関する知識を正し、実生活のなかですぐに取り入れることができる具体的な食べ方や食材、食品がふんだんに掲載されています。
基本となる知識と具体的な食事術を学ぶことで「健康法」迷子から抜け出し、食事によって人生が変わる1冊です。
主要目次
第1章 まず知るべき「栄養と食品」の基本
栄養バランスは毎日考えなくていい─「1週間」でつじつまが合えばOK
「完全栄養食」を信じるな─「これだけを食べれば大丈夫」などありえない
トクホと「健康食品」はまったくの別物─機能性食品の違いをおさえる
第2章 「病気と栄養」の危ない関係
ジュースが危ない本当の理由─果糖とブドウ糖はヤバすぎる
「体にいい油」も要注意─変性すれば、すべて悪玉
「コーラで歯が溶ける」は本当─リン酸の強さとその代償
第3章 栄養学的に「ヤバい」食習慣
ファストフードで地雷を踏むな─シェイクのヤバさを知る
黒烏龍茶でチャラにはならない─「焼け石に水」で食べ過ぎを招く
プロテインが逆効果になる?─肝臓・腎臓が酷使される理由
第4章 頭が悪くなる「脳をダメにする」食事
ビタミン不足は静かに脳を鈍らせる─頭が悪くなる仕組み
「カルシウム不足でイライラする」のは本当か?─科学的根拠はない
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号─カフェイン依存のリスク
第5章 「体によさそう」に惑わされないための知識
野菜ジュースで「野菜」は摂れない─ビタミンCも食物繊維も抜けている
「グルテンフリー神話」に惑わされるな─アレルギーがなければ無視していい
サプリメントは買わなくていい─価格も品質も信用できない
第6章 「食べないほうがいい」食品の誤解を解く
コレステロールは敵ではない─体の必須成分と動脈硬化の関係
「白米を食べると太りやすい」のはなぜか─長所と短所を理解する
「うま味調味料=危険」は思い込み─グルタミン酸ナトリウムの正体
第7章 誰でもすぐに実践できる「栄養学的な食習慣」
チェーン店で健康的に食べる方法─最強はリンガーハットの「ちゃんぽん」
パフォーマンスを上げるには「お酢」を飲む─最速でシャキッとする
「腸活」ブームが見落としているもの─腸内細菌は大腸にいる
第8章 「体調と体質を改善する」食事術
風邪をひいたらホットジュースを飲む─「ダイダイ湯」「生姜湯」がいい
食べるべき食品ベスト1は「納豆」─ビタミンKが爆増する発酵の力
「なんとなく不調」なときは食べものを疑う─5つの食事リセット術
第9章 「ストレスから体と心を守る」食事術
老化と病気は抗酸化物質で防ぐ─「ポリフェノールたっぷり」に騙されない
「おいしく・安く・栄養豊富」な旬の食材を選ぶ─無駄にお金をかけなくていい
強いストレスには「動物性たんぱく質」と「ハーブティー」─メンタルを整える食事
第10章 「やせながら元気になる」栄養学的ダイエット術
「2日で1.5kg」は誰でもやせられる─大切なのは継続できるかどうか
リバウンドを防ぐための小さな工夫─体だけではなく「心の健康」を維持する
「体脂肪率」に振り回されるな─大切なのは「経過」を追うこと
第11章 「健康なまま長生き」するための食事術
「空腹は最強のクスリ」は本当か?─実践してわかった長所と短所
40歳から筋肉は勝手に減り続ける─寝たきり回避には「たんぱく質」が必須
発がん性物質を避けるには「焼く」よりも「煮る」─肉はマリネがおすすめ