生活習慣病などの持病があったり、年齢を重ねて高齢になるほど動脈硬化が進むためそういった病を発症するリスクが高くなる。けれども持病がない現役世代でも、命に関わる心筋梗塞や大動脈解離を発症することが起き得るということだ。
堺市立総合医療センター副院長で救急科専門医の中田康城医師も、かつて整形外科病院でアルバイト勤務をしていた際、35歳男性で大動脈解離を発症した事例に遭遇した。
「足が痺れて腰が痛い」
脊柱管狭窄症という診断だったが…
「その男性は足がしびれて腰が痛いという症状で整形外科を受診し、MRI検査を行い、脊柱管狭窄(きょうさく)症という診断が下されて入院していたのです。私がアルバイトで当直勤務だった夜、その男性が突然倒れたと看護師さんから聞きました。慌てて駆けつけると、意識不明の状態。呼吸も止まっていました」
「すぐに気管挿管(気管にチューブを挿入して肺に酸素を送る医療行為)などの蘇生行為を行うと、幸いにも呼吸が戻りましたが、胸のCT検査を行えば左側が真っ白。つまり左胸腔内に血液が充満していたのでしょう。足の痺れの原因は、大動脈解離の発症だったということです」
つまり脊柱管狭窄症を患っていたものの、足のしびれや腰の痛みの大本の原因は、大動脈解離であったということだ。
「入院中におそらく解離が進んでしまい(大動脈が裂け)、胸腔内に大量出血し、意識を失ったと推測されます」と中田医師が続ける。
隠れた疾患が見つかることも
健康診断はきちんと受けてほしい
「整形外科の先生は、自分の専門分野の疾患だと判断して診療を進めていたわけです。結果論ですが、『腰しか診ていなかった! 見落としだ!』と医師が責められてもおかしくない事例でした。けれども患者さん側も、たとえ若くても、元気でも、会社の健康診断はきちんと受けてほしい」
健康診断を受けても、全ての病気が見つかるわけではない。
「しかし、隠れている疾患が見つかることもあるのです。その男性も、後から調べると高血圧の傾向にあったようで動脈硬化は進んでいたと考えられます」
突然の発症や人生最悪の痛みに注意し、普段の健康管理にも気を配りたい。







