
トメが大事そうに抱えていた木箱の中身は
「母はどうも女郎らしくて。あなたの言うとおり、髪と一緒に、自分のこといろいろ断ち切って、みなしごだって最初から打ち明けて、ここでうまくやっていくつもりだったけど。女郎の娘だとは言えなかった」
そこまで言っちゃうんだ。そして「ブサイクだね」と認めてしまう。
「言わなくていいです。言わなくていいです、言いたくないことは。全部、正直に言うことが正しいとは思いません」
正しいことをしたいりんだが、言いたくないことを言わないことまで、ただそうという気はない。
ここまで8分。15分間の半分を費やしているが、とくにひねりはない。工夫があるとしたら、何かが空から降っていること。入学が12月だから冬なので小雪が降っているのだろう。寒いだろ、12月の深夜の外は。
情緒的な表現をくわえながら、ただただ直美の情報だけが滔々(とうとう)と語られ、なんとなくりんと直美の距離が縮まる。ここでそうしないといけない事情はこのあと数分後にわかる。
説明ゼリフコーナーが終わると、第24回から引っ張っている木箱の謎が明かされる。
翌朝、トメ(原嶋凛)は青森の実家から送られてきた真っ赤なりんごをみんなに配る。いいニオイはりんごのニオイだったのだ。
皮のままでも食べられると言われ、みんなまるかじりする。
「1日1個、りんごば食えば医者いらずだって、西洋では言われじゃんだ。りんごが日本ではやれば、看護婦はいらねぐなるかもしれねえ」
トメの冗談にみんなは和む。木箱を見てにまにましていたトメを見たとき、ひとり占めしようとしているのかなと思ったがそうではなかった。ギスギスしている皆の空気をりんごを配ることで和らげたのだ。
そこで直美はここぞとばかり「オブザーブ」の件を語りだす。
「実は昨日、ナイチンゲールの看護を学んだ看護婦の先輩の家をお訪ねして、オブザーブの英語の意味を聞いてきました。看護で使う場合のオブザーブは、『じーっとよく見る』という意味だそうです。相手の様子をこう、包み込むように見続けるような。その方はこうおっしゃっていました。『ナースは医者ではないから、治療はしない。病ではなく人を看るのだ』と」
そこへりんが「私も聞いてきまして……」と続ける。
「あまりまだ辞書には載ってないんですが。オブザーブには『観察する』という訳語が当てられているそうです」
ともすれば、直美の労力にりんが乗っかってきて水を差しているように感じることもありそうだが、皆、そこまで感じ悪いことを考える人達ではなく、素直に直美とりんの努力に感謝や感心する。
これでいい。もうギスギスはおなかいっぱいなので、このまま7人は仲良くなってほしい。







