「『だりあ』には青山通りにあったサパークラブのママの紹介で行きました。最初の印象からしてよくなく、銀座の店にしては変なムードだな、一流の店じゃないなと漠然と感じました。ママだった細木数子さんにはそのとき初めて会ったんですが、印象はとても冷たく、きつい感じでした。

 彼女は『私がこうしているんだから、あんたもこうしなさいよ』と接客法を押しつけるように言うんです。店にはホステスさんが7~8人、ボーイさんとマネージャーなど男の人が3人くらい。

 どんなお店なのか、説明もありませんでした。私は初めての経験で、お客を電話で呼ぶこともできず、ヘルプ(本指名の補助に回る女性)ばかりしてました。そのせいかお給料もとても安く、今の金額に直しても10万円に届かなかったんじゃないでしょうか。これではやっていけないと感じました」

 この女性が細木の経営に決定的な不信感を抱いたのは次の出来事を目撃、体験したからである。

『細木数子 魔女の履歴書 新装版』書影細木数子 魔女の履歴書 新装版』(溝口敦、講談社)

「あるとき、何々経営研究所とかいうお客さん10人ぐらいがお見えになりました。お店が終わってから、自然と二次会風に渋谷辺りの料亭みたいな店にお客さんとホステス全員で向かったんです。そこで再び飲食が始まり、そのうちお客さんは相手のホステスと連れ立って次々消えていきます。

 これで初めてそういうお店なんだと分かりました。お客さんもそれを目的に来ている感じでした。そうやってお客さんと最後までデートすると3万円もらえました。二次会の席では、細木さんはそこの所長さんと親しげにしてました。昨日今日知り合った関係じゃない感じです。こういうことがあって、私はここにいてはダメだと思って、3カ月ぐらい後、電話もせずに店を辞めたんです。

 今でもテレビで細木さんの顔を見ると不愉快です。あの『あんた』という言い方も当時のままですし、人を犠牲にしても自分がのし上がっていく雰囲気もそのまま。冷たくて、温かみのまったくない人でした」