事前準備をしすぎずに
未知の体験を楽しんでほしい
私自身、看護師の第一線からは離れてしまいましたが、もし看護師としての私にしかできないことがあるとしたら――それは、ヒマラヤでの精神的ケアのサポートだと思っています。
ヒマラヤトレッキングの場合は、すべて事細かく説明するのはおもしろくないので、絶対におさえておかなければいけない準備と私がやってきた独自のやり方やコツなどもお伝えしています。
たとえば、シェルパと仲良くなる方法や、やっておくと便利なこと、値切り方、おすすめの装備のそろえ方、私がやってきた高山病の対処の仕方など。事前ミーティングでは、いかに参加者さんの楽しみ度を上げるかが目的です。
参加者の方々は、ネパール現地集合や初めてのヒマラヤなど、不安に思っていることも多いので、“楽しみ度”を損なわない範囲で、できるだけ不安要素を取り除くようにアドバイスしています。
旅のプランも臨機応変に変えられるような対策もしています。とにかく、参加者さんたちには、時間にしばられず、自由で、ストレスを感じないような自分だけの特別な旅にしてほしいのです。
6000m峰や8000m峰に登る場合は、楽しんでもらえば何でもいいわけにはいかないので、装備や食糧、高山病対策については、事細かく話します。大した技術も経験もなかった私でも8000m峰登頂を重ねてきたからこそ、「初心者でも大丈夫」と本気で言えるのです。
そして、実際に勇気を出して一歩を踏みだしていく。その瞬間を見るのが、私にとって最高の喜びです。
幼少期の冒険体験は
子どもの視野を広げてくれる
そしてこれからは、子どもたちにももっとヒマラヤに来てもらいたいと考えています。私自身、子どもの頃の冒険体験が感性や考え方を形づくる大きな土台になりましたし、発展途上国で多様な人や文化に触れたことも、視野を広げてくれました。
そうした経験を重ねるきっかけを作ってくれたのは母でした。私が子どもの頃、できるだけ“本物”に触れさせようと、いろいろな場所へ連れて行ってくれました。なかでも、アジアの発展途上国を子どものうちに自分の目で見てほしい、という思いが強かったようです。自分の環境がどれだけ恵まれているのか、そして世の中にはさまざまな考え方があることを知ってほしかったのだと思います。







