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高校を中退した少年が流れ着いたのは新宿2丁目のゲイバー。やがて彼は貯めた金を握りしめて憧れのパリへと旅立った。青春の鬱屈を抱えたまま異国で路頭に迷い、危険と自由が交錯する暮らしの果てに見たものとは。※本稿は、フリーライターの松本祐貴『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』(星海社新書)の一部を抜粋・編集したものです。
高校中退後にゲイバーで働いた
名刺代わりの1万円札が飛び交う
絵画、音楽、小説、詩に傾倒する酒井よし彦(編集部注/現在は、女性専門に撮影する「扇情カメラマン」として活動中の人物。54歳)だったが、入学した高校にはヤンキーしかいなかった。
「初日の授業中からみんなシンナーを握ってました。英語の授業はアルファベットを書いて『みんな読めますか?』でした。ほとんどの生徒は『ABC』までで、D以降が読めなかった。僕が先生に『美大に行きたい』と希望を言ったら『無理かな。大学に行く生徒がいないからね』と言われた。高校に通う理由がなくなったと思いました」
学校を辞めることを決めたよし彦は、トイレの換気扇会社に住み込みで働くことになった。ちなみにこの会社はよし彦が入社した翌年の正月に倒産した。実質8カ月ほどでよし彦は実家に戻ってきた。
「ただいま~」と実家のトビラを開けたよし彦は金髪になっていた。学校には正式に退学届を出しに行った。
バンド活動のため友達や知人の家をわたり歩き、仕事を探したが、金髪のせいかなかなかバイト先は決まらなかった。そんなとき、ある友人から「髪の毛を伸ばして化粧をすれば、新宿2丁目のバーで働けるよ」とすすめられた。渡りに船と面接を受けると、16歳ながらも年齢確認はなく合格した。







