「部下のモチベーションを上げるのが上司の仕事だ」。そう考えている管理職は少なくありません。もちろん、それらが悪いわけではありません。しかし、それ自体が上司の目的になってしまうと、組織はおかしな方向へ進みます。では、組織に本当に必要のない「ダメ上司」とは、どんな人なのでしょうか。この連載では、書籍『リーダーの仮面』をベースに、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

組織に必要のない「ダメ上司」の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

組織に必要のない「ダメ上司」

「部下のモチベーションを上げるのが上司の仕事だ」

 そう考えている管理職は少なくありません。

 部下の話を聞く。チームの雰囲気をよくする。みんなが楽しく働ける環境をつくる。
 もちろん、それらが悪いわけではありません。しかし、それ自体が上司の目的になってしまうと、組織はおかしな方向へ進みます

 では、組織に本当に必要のない「ダメ上司」とは、どんな人なのでしょうか。

ワースト1:「仲良しチーム」をつくろうとする人

リーダーの仮面』で私は、次のように書きました。

「組織のメリットは仲間との結束感だ」と言う人もいます。もちろんそういう面もあるでしょうが、それは副次的な利益です。
マンモスを狩った集団は、まさに同じ釜のメシを食べることになり、結果的に仲良くなったことでしょう。
肉が先にあり、仲間意識は、おまけでついてきます。
――『リーダーの仮面』より

 ここには、非常に重要な「順番」があります。

 仲がいいから、成果が出るのではありません。
 同じ目標に向かって行動し、成果を出した結果として、仲間意識が生まれるのです

 たとえば、難しいプロジェクトをチームで乗り越えたとき、「あの仕事は大変だったけど、みんなでやり切ったよね」と一体感が生まれることがあります。

 それこそが、本来の結束です。
 先に仲良くなろうとする必要はありません。

「モチベーション」を管理しようとしない

昭和の時代や高度経済成長の頃は、日本の成長が信じられました。
つまり、疑問を持たずにマンモスと対峙できたのです。
いまは、将来の不確定要素があまりにも多すぎて、組織での成長を信じられなくなっています。
日本中、全員が迷いながら仕事をしています。
私たちの元には、「組織の利益より社員のモチベーションを上げることも優先すべきだ」などの考えを教えられてきて、迷子になっている経営者がたくさんやってきます。
そうやってモチベーションマネジメントを推奨しているコンサルティング会社が多い。しかし、それによって立ち行かなくなって、私たち識学に駆け込んできています。
――『リーダーの仮面』より

「最近、部下のやる気がない」
「もっと楽しく働いてほしい」
「チームの雰囲気をよくしよう」

 そう考え始めると、リーダーの仕事が「ご機嫌取り」に変わってしまいます。
 しかし、モチベーションは本人の内面にあるものです。

 昨日はやる気があっても、今日はないかもしれない。
 上司が一人ひとりの気持ちをコントロールしようとしても、限界があります。

 だからこそ、リーダーが見るべきなのは「気持ち」ではなく「行動」です

 何をすべきなのか。
 どんな成果を求められているのか。
 何を達成すれば評価されるのか。

 それを明確にすることが重要です。

上司の仕事は「マンモス」を示すこと

識学では、全員を「組織の利益」に向かせるための仕組みを教えています。
利益を最大化させ、全員の取り分を増やします。
そして、現場レベルでメンバーをマンモスに向かわせるのが、リーダーの役割なのです。
――『リーダーの仮面』より

 リーダーの仕事は、部下を自分に向かせることではありません。
 部下同士を向き合わせることでもありません。

 全員を「マンモス」に向かせることです
 つまり、組織が達成すべき目標に向かわせる。
 そのために、役割を決め、目標を示し、結果を評価する。

 チーム全員が同じ方向を向いて成果を出せば、その結果として「このチームで働けてよかった」という感情が生まれます。

 仲間意識は、リーダーが直接つくるものではありません。
 成果を追った後に生まれるものなのです。

「仲良しチーム」は必要ない

 組織に必要のない「ダメ上司」。
 その特徴は、「仲良しチーム」をつくることを目的にしてしまうことです

 飲み会を増やす。
 雑談を増やす。
 部下のモチベーションを気にする。

 それよりも、リーダーには先にやるべきことがあります。
 全員に「狩るべきマンモス」を示し、そこに向かって行動させることです
 成果が出れば、その後に結束感はついてきます。

「仲良しだから成果が出る」のではなく、「成果を出したから仲間になる」。

 その順番を間違えないことです。