人生で初めて挑む8000m峰に胸が高鳴り、「行ってみたい」という気持ちをどうしても抑えきれませんでした。

 遠征時、看護大学に通ってはいたものの、「一度休学して行けばいいや」と思い切ってチョ・オユーへの挑戦を決意し、登頂を果たします。

 休学の相談をした際には、学部長が“粋な計らい”で特別許可を出してくれました。遠征後に下の学年と一緒に看護実習を受けられるようにしてくれたおかげで、登頂に成功しただけでなく、休学することなく無事に卒業することができたのです。

 実は、チョ・オユーに挑戦する直前に膝の前十字靱帯を傷め、3カ月間入院するという試練がありました。入院先の整形外科の患者さんはアスリートばかり。みんなが筋トレやリハビリに励んでいたので、私もつられて一緒に減量と筋トレを頑張りました。その結果、体がぐっと絞れ、ベストコンディションでチョ・オユーに挑めたのです。

 24歳と若かったこともあり、「8000m峰って意外とラクだな」と感じたのを覚えています。

「日本人女性初の14座登頂」
をはっきり意識した瞬間

 ちなみにこのときの私は、そもそも世界に8000m峰が14座あることすら知りませんでした。一番有名なエベレストだって、名前を知っているだけで、挑戦する気もゼロ。

 それでも、「なんだかおもしろそうだから行ってみよう」という気持ちだけで、1座目のチョ・オユーに挑みました。子どもの頃に「ありギリス」(編集部注/NPO法人「遊び塾ありギリス」。筆者は、ありギリス主催の中国無人島キャンプに参加した)の企画に参加したときと同じ感覚で、気負いもなく、まさに“流れに身を任せて”という感じです。

 なので、本格的に14座を登ろうと思ったのはもっと後、看護師になってからです。