体重減少だけじゃない!大ブーム「痩せ薬」の解明されつつある医学的メリットとは【医師が解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

若い女性を中心に「痩せ薬」として話題の「マンジャロ」や「オゼンピック」。これらは本来、「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬」と呼ばれる2型糖尿病や肥満症の治療薬です。メディアなどでは不適正使用が注目されがちですが、ハーバードで研究経験を持つボストン在住の内科医、大西睦子さんは、「楽して痩せる薬ではありませんが、医学的メリットが非常に大きい画期的な薬です」と話します。その詳細について聞きました。(取材・文/フリーライター 西野谷咲歩)

ハリウッドセレブが使用した経験を公言

「現代の医療で、ここまで大きな社会現象を巻き起こした薬は他に例を見ないかもしれません」

 内科医の大西睦子さんはGLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1薬)をこう評します。そのブームの火付け役になったのは、米国で放映されたテレビCMとSNSでした。

「米国ではテレビで処方薬のCMを流せます。オゼンピックが承認された2017年以降、『2型糖尿病を改善し、心臓病のリスクを低下させる。体重が5、6キロ減ります』と宣伝するCMが毎日流れていました」と大西さんは振り返ります。

 GLP-1薬は、2型糖尿病の薬として開発され、当初、体重減少は「副作用」のように現れた効果でした。しかし、世界で成人の約43%が過体重または肥満とされる現在、その副作用こそが大衆に強く求められていた「効果」だったのです。

 医療界でも話題になると同時に、イーロン・マスク、セリーナ・ウィリアムス、ウーピー・ゴールドバーグなどの著名人やハリウッドセレブが使用経験を公言したことも、社会的な関心を押し上げました。

「見違えるように痩せたビジュアルのインパクトは絶大でした。いまや米国では成人の約8人に1人が使用経験を持つと言われています」