ウゴービ、マンジャロ…どう違う?

「オゼンピック」は2型糖尿病の治療薬ですが、同じ成分(セマグルチド)の皮下注射薬で、肥満症の治療薬としては「ウゴービ」という製品名で販売されています。2型糖尿病の経口薬(飲み薬)としては、「リベルサス」があります。

 GLP-1だけでなく別のホルモン「GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)」にも作用するリリーの成分「チルゼパチド」も、用途と量によって名前が異なります。2型糖尿病の治療薬は「マンジャロ」、肥満症の治療薬は「ゼップバウンド」として展開しています。臨床データでは、体重減少効果において、セマグルチドよりチルゼパチドの方がやや優れているとの結果が出ていると大西さんは説明します。

 近年、これらの薬は体重や血糖だけでなく、関連する慢性疾患への効果でも注目されています。FDAは、ゼップバウンドを肥満が伴う成人の中等症から重症の「「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」の治療薬として承認しました。また、ウゴービは中等度から高度の線維化を伴う「「代謝機能不全関連脂肪肝炎(MASH)」の成人患者に対する治療薬として承認されています。

 GLP-1薬を使用することで、患者の多くが体重を減らし(主要な臨床試験で平均体重の15%前後の体重減少が報告されています)、HbA1c(血糖値の指標)も改善しています。

 さらに、ウゴービは、すでに心臓病のある肥満・過体重の人で、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを約20%下げる効果が確認されています。また、脂肪肝の中でも重症のタイプであるMASHでは、一部の患者で肝臓の炎症や線維化が改善することが臨床試験で示されています。

 大西さんが特に注目するのは、「依存性の低下」の可能性が研究されていることです。食べ物のなかで依存性が高いのは、炭水化物などの糖質、塩分、脂質だと言います。

「GLP-1薬を使うと、糖質、塩分、脂質のそろったインスタントラーメンなど依存性の強い『超加工食品』を『食べたくて仕方がない』という異常な執着が消えます。アルコールやタバコへの依存には、脳のドーパミンという報酬系が深く関わるとされていますが、超加工食品も同様です」

 食べ物の好みも変わって自然と健康的な食生活へシフトします。メタボリックシンドロームが解消に向かうなど、全体的な数値も改善するのです。さらに、全身の臓器を保護する有望なデータもあるそうです。