
「ロコモティブシンドローム」をご存じだろうか。将来の介護リスクが高まるという「身体能力の低下」について、医療法人藍整会なか整形外科理事長の樋口直彦氏が解説する。(取材・文/日本文章表現協会代表理事 西田延弘)
階段1階分を上がったとき
息が切れるなら要注意
「運動器は骨・関節・筋肉・神経などで成り立っています。これらの組織の障害によって、立ったり歩いたりするための身体能力(移動機能)が低下した状態を、日本整形外科学会では「ロコモティブシンドローム」(以下、ロコモ)と定義しています」
そう解説するのは、医療法人藍整会なか整形外科理事長の樋口直彦氏。ロコモティブ(locomotive)とは、移動するための能力があること。この能力が衰えた状態、ということだ。
「現代の日本人の多くは、座位姿勢でいる時間が増加することによって身体能力が衰え、ロコモになる危険性が高まっているといえます。日常生活に支障がないと思っていても、ロコモになっていたり、すでにロコモが進行していたりする場合もあります。1階分(約30段)だけ階段を使って上がった際にも息が切れるようなら、要注意です」
コロナ禍でリモートワークが増えて以降、通勤などで歩くことが減り、自宅で座っている時間が長くなったというビジネスパーソンは少なくないだろう。
シドニー大学の研究者が世界20カ国22万人を対象に平日座っている時間を調べた調査によると、日本人の平均座位時間は、20カ国中で最長の7時間であるということが報告されている(Bauman et al.Am J Prev Med,2011)。
日本整形外科学会の調査によると、45歳以上の日本人においてロコモにかかっている人数は約4700万人にものぼる。ロコモが進行すると、将来介護が必要になるリスクが高くなるという。







