Photo:Joe Raedle/gettyimages
ドナルド・トランプ米大統領の関税政策を批判する側からも支持する側からも聞こえてこないことだが、製造業の復活が進んでいる。
話題に上らないのは、どちらの政治的な筋書きにも容易に当てはまらないからだ。批判する側は、トランプ氏が昨年大統領に就任して以来、 工場の雇用が着実に減少している という事実に注目してきた。
しかし雇用とは異なり、実際の工場生産高は勢いよく伸びており、加速している可能性さえある。ただ、このひそかな回復は関税によるものではない。背景にはむしろ、経済における最も基本的な力、すなわち需要がある。米国は、今まさに大きな需要がある製品を作ることが得意なのだ。
ここに、超党派の優先事項となっている再工業化に関する重要な教訓がある。政府はこのプロセスを後押しすることができる。しかしそれは、複数の分野にわたる地道な取り組みが必要であり、市場の力に逆らうのではなく、可能な限りそれと歩調を合わせて進めなければならない。無差別に強引な関税措置を振りかざせばよいということではない。
まず、いくつかのデータを見てみよう。2025年1月以降、製造業の雇用は確かに約10万人(約0.6%)減少した。しかし同期間に、製造業の生産高は2.3%増加し、インフレ調整前の製造業出荷額は4.2%増加した。
確かに、これらの数字は控えめであり、変動も大きい。オハイオ州クリーブランドが突然、中国の深センになったわけでもない。米国の工場は今も、世界金融危機が始まった2007年を下回る水準の生産にとどまっている。
それでも、過去2年間の減少傾向からは改善しており、回復が加速している兆しもある。
この回復がトランプ氏の大統領就任と重なることから、関税やリショアリング(生産拠点の国内回帰)がその要因なのかという疑問が生じる。マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)は、リショアリングは輸入の減少と投資の増加につながるとの理論に基づき、生産、輸入、投資を調査した。







