思わぬ波及効果もあった。観光客がコンビニでジャリパンの存在を知り、「地元の名物なら元祖を食べてみたい」とミカエル堂を訪れるケースが急増したのだ。「実は、うちが元祖なんですよ」と来店客に語りかける大津氏の笑顔には、老舗を守るものの矜持がにじむ。
経営の数字も、確かな復活を裏付けている。
旧ミカエル堂時代のジャリパン製造数は月間1.3万本だったが、新体制となった現在は、開業から2年で月間1.8万本へと成長。原価構造の適正化や価格設定や販路の再構築により、利益率の改善も果たした。さらに製造のキャパシティーもまだ余裕があり、今後の伸びしろも大きい。
現在は宮崎に移住し、腰を据えて経営に当たる大津氏。「今は家庭を回すことが一番大変」と苦笑するが、その視線はすでに先を見据えている。まずはコッペパンの汎用性を生かした新商品の展開を進め、こだわりの品揃えをしているスーパーマーケットなどへ販路を広げていく構えだ。
その先にあるのは、「ミカエル堂のジャリパン」の全国展開だ。
「成城石井さんのような全国チェーンでの販売を目指していきたい」(大津氏)
2027年には創業100周年を迎えるミカエル堂。創業者の想いを胸に、若き後継者は次の100年へと向かう。
ミカエル堂のスタッフと4代目の大津伸詠氏(右から一番目) 写真提供:ミカエル堂







