模倣品や類似品が出回り……
「負けてたまるか!」で空けた「穴」
瓶詰めにして1個1円での販売が始まりだったパインアメ。しかし、当然のことながらいきなり順風満帆とはならない。いくつもの試練が待っていた。
まずは新参者であるがゆえ、取引先となる菓子問屋に相手にされなかった。仕方なしに闇市で販売するも多額のマージンを取られたり、売り上げを踏み倒されたりと散々な目に遭ったという。
また、販売開始から約1年後、何とか問屋を通して市場へ流通するようになり、パイナップル味の飴という新しいコンセプトが消費者の支持を大いに集めると、他社による模倣品や類似品が出回り、売り上げは低迷していった。
「偽物に負けてたまるか!」と上田氏の打った手が、缶詰のパイナップルをモチーフにした「穴」だった。しかし、当初は割り箸で1個ずつ穴を開けていた。売れれば売れるほど作業量は増え、ついには担当社員が腱鞘炎になってしまった。
このままでは立ち行かなくなるということで自動穴あけ機の開発に着手。改良を重ねて1953年、完成にこぎつけたのだった。
「どうしても穴を開けて差別化を図りたい。そうした強い思いによって技術革新が起きたのです」
こう説明するのは、パインの広報部でクリエイティブディレクターを務める井守真紀氏。飴の真ん中に開けられたこの穴は今や、パインアメのアイデンティティーそのものになっている。
パイン広報部クリエイティブディレクターの井守真紀氏 Photo by M. F.







