ナースの制服に着替えた7人

 多江と父の確執はわりとあっさり終了する。父・仙太郎はさほど頑固者でもなく、多江に理解を示す。

 多江が見合いに来ないので、仙太郎が養成所の様子を見にくるシーンでよかったのは、仙太郎が病室でネガティブ発言をするとき「患者の気持ちを考えてください。療養中の患者の横でそんな話はやめてください」と多江が言うことだ。

 いつもドラマで気になるのが、患者の横であけすけに話をする場面があることだ。寝ていても聞こえていることはあるもので、聞こえそうな態度は慎む配慮が欲しいということなのだ。『風、薫る』は一貫して、話しにくいことはちょっと場所を変えようとしているところに、看護ドラマの本質を感じられる。

 仙太郎は、多江の看護に対する確たる考えに打たれたのと、患者の診立てが正しかったことで見直したらしい。就職先がなかったらうちで働けばいい。「同僚を叱りつけるようなきつい看護婦は、どこの病院も雇ってくれなさそうだな」とちょっと素直じゃない言い方をする。

 あまりにあっさりゆるしてしまうので、せめて言い方はまっすぐ感動台詞にはしたくなかったのだろう。素直じゃないのは、男性優位社会に生きる男性のちょっとした抵抗か。

 ちなみに多江は、看護を「医者なんかにやらせてあげられない仕事です」と言う。「医者なんかに」と言うことで、看護は決して医者と比べて低い地位ではないという思いが強調される。まあ単純に親子ともども意地っ張りなのだろう。

 父相手にたくさんしゃべった多江にりんが水を差し出す。ようやく気が利いた。

 そして、半年後。

「ここで教えることは、もうありません」とバーンズ先生。早!

「私からのプレゼントです」とバーンズ先生が用意したのは、白い襟と袖がついたナースのロングワンピース。

 ここで、バーンズ先生が実は日本語が話せたことが判明する。

「日本に来ると決めてから勉強しました。あなたたちを育てなければなりませんから」

 先生は徹底して仕事に忠実だった。日本語がわかるから「小姑みたい」というワードにもピクリとしていたのだろう(第26回)。「小姑」とか「天狗」とかいうワードまで理解するとはなかなかである。

 これで、バーンズ先生が帰ってしまうわけではなく、これから看護師としての実践がはじまる。

 第7週は制服姿で実践開始。予告では医療ドラマあるあるの院長先生の回診シーンのようなものがあった。

もしも生田絵梨花の“医者の娘”が主人公だったら…架空の朝ドラ『タエちゃん』妄想してみた〈風、薫る第30回〉
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