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「主婦年金の縮小」を巡り、「専業主婦イジメだ」「実質増税だ」と怒りの声が殺到しています。しかし、保険料を払わずに年金がもらえる日本の制度は、世界的に見て極めて「異常」であることをご存じでしょうか? その背景には、かつて日本がお手本にした「旧ソ連」の影と、世界に誇る制度〈国民皆年金〉がもたらした大きすぎる「代償」がありました。主婦年金を死守する声が、逆に日本経済の首を絞める恐ろしい理由に迫ります。(ノンフィクションライター 窪田順生)
「主婦年金」は
「国民皆年金」の弊害
「主婦年金」をめぐる議論が活発化している。
きっかけは、会社員など厚生年金の加入者(第2号被保険者)の扶養に入っている配偶者が保険料を払うことなく、年金を受け取ることができる「第3号被保険者制度」を縮小していく改革の方向で、自民党と日本維新の会が一致したというニュースだ。
これを受けて「主婦イジメ」「改悪」「実質的な増税」などと批判が持ち上がって高市政権批判へと結びつける人もいるが、実はこの「主婦年金」は1986年(昭和61年)にスタートする前から国会や専門家から「こりゃ将来とんでもないことになるぞ」とシステムエラーが懸念されていた“いわくつきの年金政策”である。
例えば、主婦年金の導入が議論されていた国会では、中曽根内閣の厚生大臣が野党から「制度の穴」を厳しく追及されていた。
「共働きするよりも専業主婦でいた方が有利だという理屈になる」
「サラリーマンの専業主婦の場合に夫が保険料を支払う、それだけで二人分の給付を受けるのに対して、共働きの夫婦や独身者は一人分の給付しか受けられない。ここは一つ不公平ではないか」(第102回国会 参議院 社会労働委員会 1986年3月26日)
主婦年金ができて運用されるようになってからも、社会保障とは思えぬ不公平な制度だから縮小・廃止すべきだという議論が定期的に盛り上がっては消えを繰り返してきた。
つまり、政治家が世論や支持率の顔色をうかがって、ダラダラと先延ばしにしてき問題が、40年経過してようやくメスが入りそうというだけの話なのだ。
という話をすると、「外で働く夫を支えて、子どもたちをしっかりと育て上げた女性が年金をもらえないなんて社会はおかしい」と怒りでどうにかなってしまう方も多いと思うが、実はそういう発想自体が世界的に見るとかなり「異常」だ。







