このうちの抗堪性の強化については、ロシアの激しい空襲下でも4年に及んで社会・経済・軍事機能を維持し続けたウクライナの経験が重要な指針として参照されるべきであろう。

 最後に、米国以外の友好国とも安全保障上の関係をさらに発展させていかねばならない。

 大国の侵略を阻止するにあたって必要とされる膨大な武器・弾薬、戦略・作戦・戦術レベルの情報、兵站・増援ルートなどを確保するためには、欧州からインド太平洋地域における幅広い国々との協力が求められる。

 あるいは、侵略国に対する協力を手控えさせるために有事の中立を期待できるような関係性をグローバル・サウス諸国(編集部注/アジア、アフリカ、ラテンアメリカの南半球に位置する新興国・途上国)と構築することも必要となろう。

 アレクサンドル・スヴェーチン(編集部注/戦前のソ連における傑出した軍事理論家)のいう対外的な政治戦線を意識してDIME(編集部注/国家安全保障の基本戦略)をフル活用するということである。

対ロシア制裁の継続は
安全保障の面で国益につながる

 では、ロシアとの向き合い方はどうだろうか。

 北方領土問題の解決と日露平和条約の締結を目指した第二次安倍政権の対露外交は具体的な成果につながらず、2020年7月のロシア憲法で「領土割譲の禁止」が盛り込まれたことで、日露関係は停滞期に入った。

 ここに追い討ちをかけたのがコロナ・ウイルスによる渡航制限と第二次ロシア・ウクライナ戦争による対露制裁の発動であり、両国間の政治・経済的交流はかつてないほど低調になってしまった。

 なんとも残念な状態ではあるのだが、それでも対露制裁は維持すべきであるというのが筆者の考えである。

 その最大の理由は、ロシアによる侵略行為を容認せず、そのために行動を起こすことは、単なる善悪論を超えた安全保障上の国益につながる。少なくとも、ロシアがウクライナ侵略を継続する限りにおいて、日本が国際的な制裁網に穴をあけるようなことは断固すべきではない。