さて、事例1~3のうち、どの行為がオワハラに当たるか。正解は、「全て当たる」です。

 まず大前提として、「他社の選考を続けるなら、内定を白紙にする」「他社の内定を辞退すればうちの内定を出す」という類の言動はそもそも憲法で保障された職業選択の自由を侵害しうる行為であり、典型的なオワハラ行為と言えるでしょう。

 ただし、一見分かりにくいオワハラ行為もあります。企業としては本当に、タイミング的に他社の選考を待てないというケースもあるでしょう。それを除いたとしても中には学生の囲い込みを目的として、事例1のような行為で間接的に自社の内定承諾か、他社の選考か迫るオワハラもあります。

 内々定後の回答期限を一律に短期間とする運用は問題ありとは言えないものの、他社選考の状況を踏まえずに機械的に適用すれば、結果として学生の自由な意思決定を制限しているとも言えます。

 なお、例えばここに「基本は1週間だが、状況に応じて相談可能」「他社選考も含めて納得して決めてほしい」といった〈相手方に選択の自由の余地〉を残していれば、制限とまでは言えないでしょう。

 次に事例2のケース。内定辞退に対して心理的圧力や非難を加える行為は、学生の自由な意思決定を不当に拘束するものとして問題視されます。社会経験が少ない学生にとって、このような企業からの言動は非常に大きなプレッシャーになります。

 とりわけ「推薦」など大学との関係性を持ち出して責任を強調する言動は、本人の意思を歪める圧力となり、オワハラと評価される可能性が高いでしょう。

 最後に事例3について。内定承諾書や誓約書は本来、意思確認の手段としての書面です。法的拘束そのものを強めるものではありません。このように最初は軽く書かせた後で、重く“武器化”し心理的拘束を生み、辞退を困難にするような運用は、書面が拘束の装置として機能するのでオワハラとみなされるでしょう。

 オワハラのやや難しい点は、明確な違法行為として一律に線引きできるものではないこととです。とはいえ、「他社選考を断念させる効果を持つか」「自由な意思決定を実質的に制限していないか」という観点でチェックすると、実務上のリスクの所在がかなり明確になります。