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テレワークOKだった職場が突然「週5フル出社」に変えることは可能でしょうか?【出社回帰クエスチョン】を通して解説します。(社会保険労務士、大槻経営労務管理事務所 杉山悟一)
リモートOKだから郊外に引っ越したら
「出社回帰」命令が!今さら週5フルは......
コロナ禍で一気に広まったリモートワーク。しかし近年、対面での勤務形態に戻す企業が増えています。こうした現象を「出社回帰」といい、大手を中心に「原則出社」または「出社推奨」へと方針を転換しています。
もっとも、社員側からは「いきなり週5出社はキツイ」「通勤の負担が大きい」「子育てや介護との両立が難しい」といった声が多く聞かれます。事例を見てみましょう。
【出社回帰クエスチョン】
「来月から全員フル出社に切り替えます」
都内のIT企業に勤める田中さん(49歳、妻と中学1年生の娘の3人家族)は、人事部長の唐突なひとことに耳を疑いました。田中さんの会社は週2日テレワークできる制度を導入しています。これを利用して、独居の母親の介護のために、都内から郊外に引っ越したばかりです。
母親は脳梗塞で左半身に麻痺が残り、要介護2認定。医療・介護スタッフのサポートを受けて何とか1人暮らしを続けているものの、田中さんは1人息子ということもあり週末に加えて平日も週1~2日は母親の様子を見に行っています。
テレワーク前提の生活設計を進めてきたので、今さら週5出社とは寝耳に水でした。都心の会社へ通勤すれば片道2時間半はかかります。
田中 「えっ、週5フル出社ですか? 業務内容も変わってないのに、会社が一方的にルールを変えるなんて納得できません!」
人事 「お気持ちは分かります。ただ、会社としてはコロナが落ち着き、社員間のコミュニケーションを強化したい意図もあり、週5フル出社に戻したい。これは業務命令です」
田中 「そんな……。会社は社員の家庭環境も考えずに一方的にルールを変更できるのですか?私以外にも、理由があってテレワークをしている人は多いですよね?納得いきません!」
テレワーク制度を利用して郊外に転居した社員に、週5フル出社させることは問題ないのでしょうか?








