フルサービスの「JRホテルクレメント」、リミテッドサービス(宿泊特化型)の「JRクレメントイン」を中心に展開しているが、まずはリミテッドサービスホテルを中心に展開し、開発ノウハウ、本部機能・運営力を強化し、収益力を高める。今夏に高松市内に「JRクレメントイン高松兵庫町」、来春には岡山県で新ホテルが開業予定だ。

 2031年度以降の「ステップ2」では「全国でも選ばれるホテルグループ」を目指して、東京、名古屋、福岡など全国展開を進める。激戦地への進出は容易ではないが、JR九州(JR九州ホテルズ)が東京、京都に進出した事例がある。また、鉄道ブランドは信頼を獲得しやすいことから、私鉄でも京阪ホテル、西鉄ホテル、相鉄ホテルなどがエリア外へ積極展開している。

鉄道関連事業の王道である
駅ビル・不動産にも注力

 鉄道の関連事業の王道である駅ビル・不動産セグメントにも力を入れる。JRの不動産事業といえば、もはや「本業」を超えたJR九州や、新たな経営の柱に育てようとしているJR東日本が目立っているが、JR四国のそれはこれまで存在感を発揮できていなかった。

 JR北海道(2024年度)ですら、連結営業収益約173億円に対して連結営業利益約37億円を計上している中、JR四国(同)は連結営業収益約64億円に対して連結営業損失約6億円と足を引っ張っている。

 前回記事でも触れたように、JR四国には札幌、福岡といった核になる大都市がない。国鉄は既存の市街地を避けて建設された路線が多く、中心部は高松琴平電気鉄道(ことでん)、伊予鉄道、とさでん交通といった地方私鉄がテリトリーとしているため、開発に適した資源を持っていなかったからである。

 ただ、各都市で再開発計画が進む中で状況は変わりつつある。例えば、高松駅前の「サンポート高松地区」では、2024年に駅ビル「高松オルネ」、2025年に「徳島文理大学香川キャンパス」と「香川県立アリーナ(あなぶきアリーナ香川)」が開業し、2027年夏には都市型リゾートホテル「マンダリン オリエンタル 瀬戸内」が開業を予定するなど、開発が急速に進行している。

高松オルネ高松オルネ(筆者撮影)

 香川県立アリーナの開業効果は非常に大きかったと担当者は語る。音楽イベントが開催されると四国内からの誘客のみならず、本四備讃線マリンライナーで四国外からも多くの来場者が押し寄せ、駅周辺で一泊したり、お土産を買って帰ったりと、他方面に波及効果を確認できたという。