現在、再開発が進むのが愛媛県の松山駅だ。松山の市街地は伊予鉄道松山市駅を中心に広がっており、予讃線のターミナル松山駅はやや外れた位置にある。松山駅は2020年に併設の車両基地と貨物駅を移転すると、2024年に周辺約2.4kmを高架化。捻出されたスペースで駅周辺の再開発事業が動き出した。

 松山市が今年3月に発表した「松山駅周辺まちづくりプラン」は、駅前交通広場に路面電車を引き込んで交通結節点化するとともに、松山市駅~松山駅間のアクセスを改善し、駅西側車両基地跡地に「多目的アリーナ」、東側に「にぎわい機能」を整備するとしている。

 JR四国は各種施設の早期整備に向けて松山市・愛媛県との連携を強化し、あわせて自社用地の価値向上、収益・利益最大化を目指す。中計ではこのほかにも、四国内主要駅周辺の都市機能集積や中心市街地における再開発への参画、協力など、市中での不動産開発への挑戦を表明している。

四国4県の人口推計から見える
鉄道事業の厳しい経営環境

 駅ビル・不動産セグメントは、2030年度の事業ポートフォリオ比(営業収益比)を、駅ビル含む賃貸型事業「55」、分譲マンションなど開発売却型事業「40」、公共施設の指定管理など施設管理事業「5」を目指す。

 同社はこれまで高松、松山で「J,CREST」ブランドの分譲マンションを展開しており、さらに共同事業ではあるが、2023年2月に岡山駅近く、今年2月に茨城県つくば市でも竣工した。今後もエリア外での展開を加速すると共に、首都圏を中心に共同住宅、学生会館、シニア施設など収益不動産の展開も目指す。

 非鉄道事業が積極的に増収増益を目指す一方、本業の鉄道事業が厳しいのは前回記事で述べた通りだ。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計(2023年)は、四国4県の2020年比人口を2025年に94~96%、2030年に88~92%と予測している。中計期間中にも鉄道を取り巻く環境は刻一刻と悪化していく。

四国4県の将来人口推計(国立社会保障・人口問題研究所 2023年推計)四国4県の将来人口推計(国立社会保障・人口問題研究所 2023年推計) 拡大画像表示

 改めてセグメント別業績予想(図2)を見てみると、これを反映するように鉄道事業の償却前経常利益は2025年度の25億円から2030年度は17億円に減少している。営業収益は15億円(6%増)の増収を見込むが、これは運賃改定を織り込んだ数字だろう。

 残念ながら鉄道事業の縮小は不可避である。その上で可能な限りの増収策と、それ以上の経費削減を進めなければ、せっかくの増収努力も水の泡になりかねない。次回はJR四国の鉄道事業が積み重ねてきた努力と、今後の展望・課題について取り上げたい。