結果や評価は、強い引力を持っています。勝ちたい、うまくやりたいと感じた瞬間、注意は自然と未来へ向かいます。
しかし、結果は「目指す方向」にはなっても、「注意の戻る場所」(編集部注/筆者は集中力や注意力は、途切れたときに取り戻す技術が大事だと説いている)にはなりにくいもの。なぜなら、結果はこの瞬間に自分でコントロールできるものではないからです。
結果に注意を戻そうとしても、具体的な足場が見つからず、「今の自分は大丈夫か」という確認や管理に注意が向いてしまいます。その不安定さが、「集中できない」という感覚を生むのです。
一方で、行動は違います。視線をどこに置くか、どのリズムで動くか、どこに力を乗せるか。これらはすべて、「今、この瞬間に」「自分で」「選び直すことができる」ものです。行動そのものだけでなく、行動につながる感覚や意図も含めて、注意を戻すことができる対象です。
結果は、行動の積み重ねから生まれます。行動の中に戻り先があれば、注意は結果そのものではなく、その結果をつくる過程へと向かいます。だからこそ、注意が逸れたあとも、「ここに戻ればいい」という感覚が先に立ち、迷うことなく注意を戻すことができるのです。
結果に一喜一憂せず
野村勇は課題の検証を続けた
2025年にキャリアハイの成績を残し、日本シリーズ第5戦では延長11回に日本一を決定づける勝ち越しホームランを放った野村勇選手は、この「戻り先の整理」を徹底してきた選手の1人です。
開幕してから約1カ月間、なかなか打席に立てていなかった時期、野村選手は私に「自分が進んでいる気がしません」と相談に来てくれました。手応えがないというより、どこに向かっているのかがわからなくなっている、そんな状態でした。そこで私は、まず「目標の整理」からやってみようと提案しました。
今シーズン、目指しているものを聞くと、「スタメンに定着したい」という答えが返ってきました。そこで、その結果に近づくために、自分自身の特徴をどう捉えているか、どんな能力を伸ばしていくとスタメン定着の確率が上がるかを、2人で丁寧に整理していきました。







