ひととき融資がはびこり続ける
「4つの要因」

 ひととき融資が水面下で浸潤する理由はいくつか挙げられる。事件捜査のプロセスに沿って説明しよう。

(1)「被害発覚」のハードル

 融資が少数集団(男性一人と数人の女性という閉じた関係)で実施されているため、警察が事件として認識できる経路は被害女性からの通報に限られる。

 併せて、被害女性はその被害経験を語ることを極度に嫌がる傾向が高いため、警察がひととき融資の事件を認識できる機会は限定される。

(2)「出資法違反」での検挙は困難

 警察が被害女性からの通報でひととき融資の捜査に着手できたとしても、往々にして被疑者である男性の目的が性的関係であるため、高い利息を要求する必要はない。

 つまり、ひととき融資の事件では約定金利を出資法で定める個人間融資の上限金利である年利109.5%以下とする事例が少なくない。この場合、出資法違反での検挙は不可能となり、逮捕の対象が貸金業法違反に絞られてしまう。

(3)「貸金業法違反」で起訴する難しさ

 検挙の範囲が貸金業法違反のみとなることで、貸金業法違反、つまり無登録営業の罪で検挙しなければならない。融資の違法性(反復継続取引の存在)を立証するために、貸し手による事業遂行性の前提や実態を裏付ける十分な証言や証拠を被害女性から得る必要がある。

 ただし、(1)に記述した通り、被害女性は捜査協力をためらうため、警察にとって貸金業法違反で起訴するための貸付行為に関する十分な証拠を確保することが難しい。

(4)女性側が逮捕される可能性

 ひととき融資の「業」として実態を立証できない場合、金利が出資法の範囲内であれば、被害に遭った女性は個人間で締結された金銭消費貸借契約の履行を男性側から求められる立場となる。

 しかし、資金繰りの厳しい女性にとって出資法の上限である年利109.5%もの高利を返済することは事実上、不可能だ。または金銭以外の返済手段(風俗や売春など)を考える可能性も否定できない。

 つまり、警察が捜査を進めた結果、逆に被害届を提出した女性を売春防止法違反で検挙しなければいけないこともあり得る。

 これら事情により今日、ひととき融資の事件はヤミ金融市場で特定の資金需要者を狙った受け皿として浸潤し続けている。