「警察vs新手のヤミ金」仁義なき戦い、ギフト券買い取り商法などの狡猾手口「ギフト券買い取り商法」と呼ばれる新手のヤミ金からの押収物(写真提供:神奈川県警)

10月25日に神奈川県警が新たなヤミ金を逮捕した。金券買い取りを偽装して資金を提供する「ギフト券買い取り商法」と呼ばれる新種のヤミ金であり、全国で初めての摘発となる。一昔前と違い、近年のヤミ金は単純な金銭貸借の形を取らず、法律の抜け道をくぐるような狡猾な手口を次々と編み出している。邪智深く進歩するヤミ金と、執念を燃やして追いかける警察の戦いが続いている。(東京情報大学教授 堂下浩)

フリマサイトを装った
新種のヤミ金を摘発

「ギフト券買い取り商法」を展開するヤミ金は、金銭を貸す代わりに、ギフト券など金券を媒介しているのが特徴だ。まず、ヤミ金はネット上で金券を買い取るフリーマーケットサイトを装って資金需要のある申込者(実態としては債務者)を誘い込む。たとえば2万円分の金券を申込者が出品するとしよう。しかし、額面通りの金額では売れず、1万5000円などといったディスカウント価格で出品する。そして、ヤミ金がこれを買い取り、1万5000円を申込者に振り込む。

 通常の金券売買なら、代金が振り込まれた時点で即座に金券が発送されるところだが、このサイトでは翌月の給与日まで発送を猶予してもらえる。

 そして、翌月の給与日には2万円分の金券をヤミ金に郵送しなければならない。つまり、1万5000円を現金で借りて、翌月の給与日に2万円を金券で返済する、という図式になる。差額の5000円が金利だから、1カ月で30%以上ということになる。

 金券の買い取り行為に違法性はなく、通常の金券ショップの業態とくくれなくもないため、このスキームを貸金業違反として決めつけて摘発することは難しい。そこで、今回は警察側も相当の警察資源を投入しながら、周到な計画の下で証拠を集め、綿密な法的ロジックを組み立てた上で逮捕に至ったものと思われる。

 現在、同様の業者はネット上でも流行りつつあり、警察も時間との戦いに迫られながらの捜査を強いられたものと推察される。