株価下落の中・大型株
象徴的な4業種
ではさっそく株式をスクリーニングしてみます。東証に上場している銘柄のうち時価総額が3000億円以上の中・大型株は499銘柄あります。そのうち過去半年で株価上昇率がゼロ、ないしはマイナスの銘柄は146銘柄で、全体の約3割を占めます(5月8日16時00分時点)。
そしてこれら下落している銘柄の傾向を眺めることで、株式市場が「これから起きるリスク」をどう考えているのかがだんだんと見えてきます。順に確認していきましょう。
まず最初に気づくのは海運を除いた運輸株の下落です。航空業界では日本航空、全日空ともに株価はマイナスです。これはすでに原油高で5月からのサーチャージが値上がりしていることからも、読者の皆さんにもある程度の予想がつく顔ぶれかもしれません。
しかし実際に、よりリスクが高いのは陸運です。LNG価格の高騰で電気料金の値上げが予想される中で、鉄道株が軒並み頭打ちになっています。さらに経済の専門家として、より深刻なリスクを感じるのはヤマトHDに代表されるトラック輸送のセグメントです。
というのも、トラックなどのディーゼルエンジンは環境規制の目的でアドブルーという尿素の排ガス浄化剤がないと「動かない」設計になっています。この尿素の生産は世界的には約3分の1を中東が占めています。ここがホルムズ海峡封鎖で止まってしまうと、日本の物流の大動脈そのものが動かなくなってしまいます。
次に気になるのは、下落銘柄に小売業が多いことです。イオン、セブンアンドアイを筆頭に、ニトリやマツキヨ、ドンキを含め生活に密接に関連した企業の株価の動きが、過去半年の間でみるとさえません。
事情としては、ここ数年続いているインフレでそもそも消費者の節約志向が広まっていることが背景にありそうです。それを裏付けるように、サントリーや日清食品のような食品や、ユニ・チャームのような日用品メーカーも値下がり組に顔を並べています。
三番目に注目すべきなのが自動車業界です。ホンダが赤字転落で危機を迎えているのは織り込み済みだとしても、決算が順調と考えられるトヨタやスズキの株価までが半年間でマイナスというのは、より深刻な何かを感じさせます。
さらにより広い自動車関連業界としては、二輪のヤマハ発動機、協力会社大手のデンソーやブリヂストンも過去6カ月で株価が下落している点で共通しています。
今回のイラン攻撃では、日本以上にアジア経済が石油不足の打撃を受けると考えられます。日本車が強いアジア市場で仮に、ガソリン車の買い控えが起きるようであれば、先行きの業績はより深刻な状況になることから、投資家としては一定の覚悟が必要かもしれません。
そして、このようにアジア経済を含めて俯瞰して状況を眺めると、日本経済への今後の大きなリスク要素と考えられるのがグローバルサプライチェーンです。







