株式市場は折り込み始めた
“イラン危機以外”のリスク
高市政権はここまでのところ、原油やLNG、ナフサなど経済に不可欠な輸入品目を国内向けに押さえるという点で顕著な成果を上げていることは評価すべきです。しかしサプライチェーンが世界に広がった現状では、アジアが発火点となって材料不足が深刻な状況を生み出すリスクも勘案すべきです。
その観点では医療関連製品の株価が下落していることが気になります。具体的には医療現場に欠かせない消耗品を提供するテルモや、内視鏡最大手のオリンパスが下落組に入っていることには留意すべきかもしれません。
さて、ここまでの銘柄の顔ぶれはある意味で「イラン攻撃の余波でこれから起きるリスク」を想起させる銘柄という点で理解しやすかったと思います。しかしこの半年で株価が下落している銘柄の中には、投資家としての視点でみるともうひとつ別に予想外のグループが存在しています。
この記事の最後に、それが意味することを考えてみたいと思います。その予想外のグループとは日本のハイテク産業です。
具体的には日立、富士通、日本電気といった電機大手、NTTやKDDIのような通信大手、ソニーグループや任天堂などゲームとIP大手、そしてリクルートや楽天、サイバーエージェント、エムスリーといったインターネットビジネスの大手がそれぞれこの半年間の下落銘柄に名前を連ねています。
この事実が示唆することは何なのでしょうか?
あくまで推測ですが、株式市場はイラン危機とは別に、AIによるハイテク業界地図の大幅な入れ替わりを想定し始めているとしたらどうでしょうか?
アメリカではグーグル、アマゾン、マイクロソフト、メタらによる巨額のAI投資が行われています。この4社合計の今後1年間の設備投資額は、実に日本経済の設備投資額に匹敵するほど巨大になっています。
そのことでプラスになるのは主に日本の半導体関連株で、ここは確実に設備投資需要増の恩恵を受けることは間違いのない状況です。また投資がフィジカルAIに移行することで、ファナックに代表される日本のロボット株も人気を集めています。
一方でこの先の日本経済を待ち受けるのは、覇者であるアメリカに対して巨額のデジタル赤字が積みあがる未来かもしれません。実際、これだけ日経平均が上昇しているにもかかわらず、先ほど名前を挙げたような日本を代表するハイテク企業群が軒並み株価を下げているという事実には、少し背筋が寒くなるものを感じざるをえません。
総合的にとらえると、日経平均6万2000円超えを日本人は単純に喜んでばかりではいられないかもしれないのです。








