「結局、何が言いたいの?」と言われたり相手に感じた経験はないでしょうか。会議や報告、プレゼンの場で、しっかり話しているつもりなのに伝わらない。実はその原因は、話すスキルではなく「考え方の構造」にあります。Yahooアカデミア初代学長として多くのリーダーを育成し、今は武蔵野大学アントレプレナーシップ学部長を務める伊藤羊一さんが語ったのは、「話す力とは考える力そのもの」であるという本質でした。毎朝5時55分から行っている「1分朝活」で明かされたその話は、「伝わる人」と「伝わらない人」の決定的な違いを教えてくれるものでした。

「そりゃ上司も聞かないわ…」話が伝わらない人が無意識でやっているNG習慣Photo: Adobe Stock

なぜ「話が伝わらない人」はいつも損をするのか

会議で発言しても響かない。上司に説明しても納得してもらえない。そんな経験は多くの人にあるはずです。実は、伝わらない人には共通点があります。それは「結論が後回しになる」ということです。

私は『奇跡が起きる毎朝1分日記』の著者として、毎朝5時55分から「1分朝活」を無料で開催しています。心と行動を整えるための短い習慣ですが、毎週月曜日はゲスト講師をお迎えしています。今回のゲストは、65万部のベストセラー『1分で話せ』(SBクリエイティブ)の著者、伊藤羊一さん。ヤフーやグロービスで人材育成に携わってきたプロフェッショナルです。

「結論+根拠+例えば」で人は動く

伊藤さんが最初に教えてくれたのは、「話す前に構造を作る」ということでした。ポイントはシンプルで、「結論+根拠+例えば」の3つだけ

まず結論を伝える。次に、その理由となる根拠を示す。さらに具体例を加える。この順番で話すことで、論理とイメージの両方が伝わり、相手の理解度が一気に高まるのです。

これはピラミッドストラクチャーとも呼ばれ、相手の左脳と右脳の両方に働きかける話し方です。難しいテクニックのように見えて、実は誰でもすぐに使える基本です。

「前置き・ギャグ・プロセス」が話をダメにする

一方で、やってはいけないことも明確です。特に多くの人が無意識にやってしまうのが、「前置きが長い」こと

「ちょっと状況から説明すると…」と話し始めた瞬間、相手の集中力は落ちていきます。本当に重要な場面では、まず本題に入ることが鉄則です。

また、場を和ませようとしたギャグも、ほとんどの場合は逆効果。どうしても入れたいなら最後にする。さらに、自分の思考プロセスを最初に語るのもNGです。相手にとっては言い訳のように聞こえてしまいます。

「最後の一言」がすべてを決める

もう一つ印象的だったのは、「締めの一言」の重要性です。多くの人は話し終わりが曖昧になりがちですが、最後にもう一度結論を伝えることで、印象は大きく変わります。

伊藤さんは、「最後の一言はお守りになる」と言います。たとえ途中で話が崩れても、最後にしっかり締めれば伝わる。これは誰でもすぐに実践できる強力な技術です。

伝わる人は「相手の靴を履いている」

さらに大切なのがマインドセットです。伊藤さんが強調していたのは、「相手の靴を履く」という考え方。自分が何を言いたいかではなく、相手がどう受け取るか。相手と同じ方向を見て話すことで、コミュニケーションの質は一気に上がります。

これはテクニックではなく姿勢の問題です。そして、この意識があるかどうかで、伝わる人と伝わらない人は決定的に分かれます。

「ぼーっとする時間」が思考を整える

興味深かったのは、話し方の裏にある習慣です。伊藤さんは、朝に散歩をし、あえて「ぼーっとする時間」を作っているそうです。

情報に追われ続ける現代では、思考が整理される時間が圧倒的に不足しています。ぼーっとすることで、頭の中の情報が自然に整理され、「結論」が見えてくる。

実は、話し方を変えるためには、まず思考を整える必要があるのです。小さな習慣が大きな違いを生みます。これはまさに、小さな行動が意識と結果を変えていくという原則とも一致しています。

今回の朝活で多くの参加者が口にしていたのは、「話し方ではなく考え方を変える」という気づきでした。結論から話す。構造で伝える。そして相手の立場で考える。この3つを意識するだけで、コミュニケーションは劇的に変わります。

伝える力は、特別な才能ではありません。誰でも身につけられる「習慣」なのです。